鮨 よし田

ー Kurume-city, Fukuoka

推薦人
「すし匠」
中澤圭二さん

念願かなって「よし田」へ足を運んだ中澤圭二さん。
評判通りのつまみと握りに大満足。

中澤:玄関でだいだいわかりますね、いい寿司屋かどうかって。吉田くんのところはまさにそれ。蔦のからまる玄関を入ると、そこから、暗い露地に導かれて、期待が高まるよね。それでこの広々とした数寄屋の空間。最高の舞台だね。

吉田:ありがとうございます。独立して、自分で店をやるからには、好きなものに囲まれて仕事をしたいなと。一日中、いるわけですから、気持ちのいい空間じゃないと。

中澤:それこそ、家より長くいるんだからね(笑)。

吉田:10年前、独立するときに、東京を食べ歩いたんです。まず、「あら輝」さん、そしてすぐに「さわ田」さんと。今まで思っていたものがすべて否定されました。しゃりの合わせ方から、ねたの仕込みまで。博多はとにかく鮮度を大事にしていました。それが仕事をしたり、締めたものがこんなにおいしいとはて。衝撃でした…。今日はまず、たこの柔らか煮です。どうぞ。

中澤:おいしね。地のもの?

吉田:ええ、長崎です。蒸し鮑は相の島、新宮の近くでとれるものです。その後、博多の「安吉」さん、「近松」さん、「吉富寿司」さんと出会って……。それからが自分の修業でした。考えれば考えるほど難しくもあり、面白くもあり。

中澤:鮑、いいねえ。きめが細かいから香りが逃げない。次はあこう?

吉田:ええ、関西ではきじはたと呼ばれますね。

中澤:うん、香りがいい。でも、これだとしゃりが勝ってしまってもったいないかもしれないね。

吉田:そうですか。しゃりも悩みました。せっかく九州でやるのだから、白身に照準を合わせてきたつもりなんですが。ただ、ヨコイの赤酢の香りやはり好きなので、合わせて使っています。次は、唐津のうにです。

中澤:うーん、うまい。これはさすがにうにが勝つよね。

吉田:続いて、かすご、そして沖縄のまぐろ。大トロの手前です。10日間熟成させました。

中澤:しゃり、むしろまぐろにぴたりと合うよね。

吉田:そうですか。自分ではしゃりはあっさり、ねた、キリッとを目指しているんですが。どこかで、江戸前の、まぐろに合わせていくしゃりの残像が頭にあるのかもしれません。お次はしんこの8枚づけです。天草から柳橋連合市場に入ったものです。

中澤:いや、東京でもまだ出てないよ。8枚づけは大変だね、仕事が。

吉田:ええ、ありがとうございます。そして白海老です。いや、これは富山のものですけれど、地元の方にとっては、面白いもの、珍しいものも出したいと思って。

中澤:東京からのお客さんはどれくらい?

吉田:この1年でずいぶん増えました、3割くらいでしょうか。

中澤:久留米という、まあ、いってしまえば、一地方都市という土地がらで、江戸前を向いた、このスタイルの寿司屋が成り立つというのがまずすごい。なぜなら寿司のおいしさやスタイルに絶対ってものはなくて、場所によって、時代によって正義は違うのだから。東京だって、締めたものや、仕事をしたものを礼賛するようになったのは、つい最近のこと。バブルの頃なんて、どの店も、大げさに鮮度を競ってたよ。海老の踊りだ、鮑の水貝だ、活造りだって……。それが今じゃ、海老は火を入れ、あわびは蒸し、魚はねかせる。10年前までは食感の時代だったのが、今、味の時代へと変わってきているんですね。だからここでは吉田くんが、鮮度が第一義だった久留米の正義を、変えつつある。

吉田:いや、そんなめっそうもない。自分は26歳で、久留米の「甚六ずし」という最大手のすし店の、2番手が独立した「鮨処 徳」に入って8年、34歳で独立しました。遅かったんですね。それだけに、自分の好きな世界観というのはでき上がっていたのかもしれません。

中澤:器もいい感じだよね。

吉田:あ、それは、見よう見まねで、自分が焼いたものなんですよ。その敷皿は違いますよ、もちろん(笑)。安藤雅信さんの器が好きで、福岡で個展を開いたときにお目に掛かる機会があって、焼いてもらえないかってお願いしたら、快くOKしてくださって。

中澤:センスだよね。そういう世界観が受け入れられているんだろうね、好きなお客さんには。今まで久留米に求めてなかったものが、満たされている。

吉田:共感を持ってくださる方がいるのは嬉しいですね。車海老は天草から、軽く締めたいわしは玄海のものです。最後は伊崎の穴子です。今日はこんなところで。ああ、緊張しました。いや、だって、雲の上の方でしたもん、中澤さん。そんな方に自分の握った寿司を食べてもらえるなんて。昨日眠れませんでしたよ。本だって、ボロボロになるまで、読みましたよ。そうだ、サインしてください。

(と、奥から、宝物のように大切にしていた本を取り出してくる。中澤さんも照れながらサインを)

中澤:いやあ、感性、センス、探究心の賜物です。九州のねたの生かし方と、しゃりの相性を研究すれば、もう一つ上の段階に行けますよ。久留米から美意識と感性を発信する、そんな寿司屋を目指して、がんばってください。


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