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映画「悪人」の舞台・九州北部を巡る AKUNIN in Kyushu

> 脚本・吉田修一 インタビュー

脚本・吉田修一 インタビュー

ー 九州を舞台にした小説を書かれるきっかけは?

吉田修一:元々、長崎の出身で「7月24日のクリスマス」(文藝春秋)や「長崎乱楽坂」(新潮社)など、九州を舞台にした作品は何作か書いていました。新聞で連載を始めるにあたり、思い描いていた物語の場所として九州の北部がすごく合っているなと。具体的には、山の中にある高速道路<長崎自動車>を小説で描きたかったんです。
地方の高速道路は、何か物語がある気配がして。

ー「悪人」は福岡・佐賀・長崎の3県が舞台です。九州北部に特別な思い入れがあったのですか?

吉田修一:あまり的確な表現ではないかもしれませんが、少し治安が悪いというか......。
住んでいる人たちの"情" が濃いというイメージがあります。また、隣県で続いているのですが、それぞれの県で雰囲気が全く違う。福岡は都会で、佐賀は真っ平らな平野が続き、長崎は海と坂が多い。がらりと変わる風景は、映画になりえるシチュエーションだなと思いました。

ー 映画化にあたり、脚本も手がけられたとか。

吉田修一:小説で「悪人」は完結していたのですが、映画化のお話をいただいた時、せっかくなので脚本を書かせてもらえないかと李相日監督に提案しました。監督と二人で書きあげた後、灯台のシーンを撮影していた五島列島に見学に行ったんです。何度か高校時代に海水浴に行ったことはあったのですが、舞台となった福江島の灯台には初めて行きました。小説ではもう少し街に近かったのですが、あの灯台はかなり僻地で、行くだけでも大変でしたね。

ー 方言指導もかなり忠実に再現されたそうで、リアリティがあります。

吉田修一:長崎の出身の自分が見ても、98%違和感がありません。実際の方言で話すと意味がわからなくなってしまう部分もあるので、主人公の祐一(妻夫木聡)は多少脚本の段階から標準語に近づけています。九州の方が見ても、違和感はないと思いますね。
特に、柄本明さんが娘に話かけるシーンは、九州のお父さんがみたらグッとくると思います。

ー 小説を書いた時と、映画化されたイメージに違いはありましたか?

吉田修一:小説でイメージしていた場所と、脚本を書いた時にイメージした場所はかなり違っています。
小説からこの映画ができたのではなく、小説で描いた人間や情景を映画で表現したという感じですね。
といっても、物語の核となる部分は同じなので、原作と映画それぞれの世界を楽しめると思います。

ー 映画や小説の舞台となった北九州で、おすすめの場所や地元の料理はありますか?

吉田修一:やはり、見どころは街並が変わる所です。福岡に着いたら博多の街から車で、佐賀の唐津や呼子に行き、最終的に長崎の港町に着く。色んな景色を見ることができるので、車でのドライブがおすすめ。
また小説にも出てきましたが、博多では鉄鍋餃子やモツ鍋を食べて欲しいですね。
佐賀は呼子のイカが有名ですし、佐賀牛もおいしいです。唐津は焼き物の街なので、とても上品な店が多い。
長崎は白身の魚が抜群。個人的には、島原半島のそうめんやにゅうめんが好きです。

ー 映画「悪人」の脚本を手がけられたことで、改めて感じた九州の魅力とは?

吉田修一:博多の午後6時と長崎の漁村の午後6時、佐賀の平野の午後6時は、すべて全く違うんです。
もしかして、そこで見ているテレビは同じ番組が流れているかもしれませんし、似たようなことを考えているかもしれない。でも、その場所で流れている風景をみると、同じ1時間でもこんなにくっきりと違うのかと感じます。
「悪人」に登場する祐一が住んでいるような長崎の漁村で暮らしていると、何かが足りないと思うし、東京で暮らしていても足りないと思うかもしれません。
どうしても、田舎にいるほうが足りない気がして焦ったり不安になると思うのですが、東京の人たちが美しい夕焼けを見られるかと言えば見られない。
自分にとって何が一番必要なのかということに気づけるかどうかが、日々の生活において大切なのかなと思います。
九州という場所にも、映画のような圧倒的に美しい世界があるということを感じて欲しいですね。

about the movie
出演:
妻夫木聡・深津絵里
岡田将生・満島ひかり・樹木希林・
柄本 明 ほか
監督:
李 相日
脚本:
吉田修一・李 相日
原作:
吉田修一(朝日文庫刊)
配給:
東宝

全国劇場にて公開中

www.akunin.jp

©2010「悪人」製作委員会

「悪人」

土木作業員の清水祐一(妻夫木聡)は、長崎の外れのさびれた漁村で生まれ育ち、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。
車だけが趣味で、何が楽しくて生きているのかわからない青年。佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代(深津絵里)は、妹と2人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日を送っていた。

「本気で誰かに出会いたかった…」

孤独な魂を抱えた2人は偶然出会い、刹那的な愛にその身を焦がす。しかし、祐一はたったひとつ光代に話していない秘密があった。彼は、連日ニュースを賑わせていた殺人事件の犯人だったーー。

「もっと早く出会っていれば良かった…」

そんな祐一の自首を止めたのは光代だった。殺人犯との許されぬ愛…。生まれて初めて人を愛する喜びに満たされる光代は、祐一と共に絶望的な逃避行へと向かう。
やがて地の果てとも思える灯台に逃げ込んだ2人は幸せなひとときを迎えるが、その逃避行が生んだ波紋は被害者の家族、加害者の家族の人生をも飲み込んでいく。

なぜ祐一は人を殺したのか? なぜ光代は殺人者を愛したのか? 引き裂かれた家族の運命はどうなるのか?
絶望のどん底に突き落とされた人間たちが、善悪の葛藤のなかでもがき、そしてその先にひとつの謎が生まれる。
いったい誰が本当の"悪人"なのか?

その答えが明かされたとき、物語は、衝撃と感動のクライマックスを迎えるー。


「悪人」

出演:
妻夫木聡・深津絵里
岡田将生・満島ひかり・樹木希林・
柄本 明 ほか
監督:
李 相日
脚本:
吉田修一・李 相日
原作:
吉田修一(朝日文庫刊)
配給:
東宝

全国劇場にて公開中

www.akunin.jp

©2010「悪人」製作委員会

「悪人」ロケ地巡礼[一覧]

長崎[平戸大橋]

September, 2010

佐賀[呼子]

September, 2010

 

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