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インタビュー 宮崎でのワークショップを終えて

インタビュー 宮崎でのワークショップを終えて

- Interview with Mikio Hasui & Eiki Hidaka

子どもたちの撮影した自由で楽しい写真から、大人も学ぶことがたくさんあった、今回のワークショップ。講座を終えた蓮井幹生、日高英輝の両氏に、写真表現や宮崎に対する思いを聞いた。

上 写真:限られた時間と場所で、次々と作品を生み出す子どもたち。「鉛筆で足跡を描くという発想を思いついたことも偉い」と日高が褒めたコンテンポラリーな写真。

 

蓮井 幹生 mikio hasui

はすい・みきお●1955 年東京都出身。デザインの世界を経て、写真家となる。 写真という表現の可能性への探究意欲は徹底した実証的な アプローチとなり、撮影からプリント制作まで緻密に積み上げられた一連のふるまいが蓮井の削ぎ落とされた透明度の高い世界を形成する。2009年、2010年と二年連続でフランス国立図書館 (BNF) に「PEACE LAND」と「詠む写真」がコレクションされる。
www.mhasui.com

日高 英輝 eiki hidaka

ひだか・えいき●アートディレクター。宮崎県生まれ。株式会社ドラフトを経て、2001年にグリッツデザイン設立。主な仕事は、ユニクロ、ゼロハリバートン、GReeeeN、少女時代等のアートディレクションなど。主な賞歴に、JAGDA新人賞、日経広告賞グランプリ、ニューヨーク ADCなど多数。
www.gritz.co.jp

—今回、宮崎でワークショップを開催したのはなぜですか?

蓮井:もう20年近い付き合いになるアートディレクターの日高さんが宮崎出身で、春に仕事で一緒に来たんです。そんな折に口蹄疫問題が発生して。一番ショックだったのは、非常事態宣言が出て、子どもたちが夏休みにどこへも行けなくなっちゃったこと。だから写真を通じて子どもたちが元気になるようなイベントができればと思ったんです。キッズ・セーバーを主宰しているアートディレクターの川口清勝さんにも力を借りることもできました。

日高:僕は普段東京にいますが地元の人間から話を聞く度、「なんか大変なことになってるぞ」と感じていました。でも10万頭20万頭て数字だけではリアリティがない。そこで2m×8mの壁面を10万頭の牛と豚で埋めるビジュアルを作ったんですが、Mac上でレイアウトしてもただ真っ黒。原寸大で出力して初めて事の重大さに気付いた。今回は、このワークショップの他にもうひとつ目的があって、「美味しいものをいっぱい作るからまた宮崎に来てください」っていう復興宣言のポスター撮影を蓮井さんにお願いしたんです。

蓮井:口蹄疫というとんでもない災害は、もちろん起こらないほうがよかったけど、僕は何度か宮崎に来て、地域の団結力がすごいなと感じました。終息宣言したものの29万頭の牛はもういないわけで、農家にしてみれば財産全部失ったようなもの。そこで今みんなが「宮崎をなんとかしなきゃ」っていう思いを持って、地域で助け合っている。地域の力で産業を盛り上げよう、チームワークでやっていこうっていう力が、僕は今の日本に最も欠けていると思う。宮崎を手本にして、日本人はもっと団結していくべきなんじゃないかな。

—今日は復興の明るい兆しを感じさせる、いいワークショップでした。

日高:みんな楽しそうだったよね。でも今日一番驚いたのは、蓮井さんの子どもの扱いのうまさ。語りかけが歌のお兄さんだった(笑)。

蓮井:いやいや。昔は写真が撮れれば先生って言われた時代があったけど、今はそれだけでは先生と言われない。でも今はカメラの進歩で誰でも上手に撮ることが出来る。じゃあカメラを使って何が出来るのかといえば、"人とコミュニケーションが生まれる" ってことと、"無駄だと思って目を向けなかったことに目を向けるようになる" こと。この2つを子どもたちに教えたかったんです。ピンホールカメラ作りをやったのは、先人たちが写真にいかに驚いて、心を奪われ、カメラを作り上げたのかっていうのを体験させてみたかった。ものが生まれる瞬間っていうのは刺激があるものですから。

—大人まで夢中になってましたね。子どもたちの作品はどうでしたか?

日高:いかに大人の目が毒されているかを目の当たりにしました。子どもはピュアで奇想天外。実は写真って、子どもにフィットした表現手段なんだと思いました。インスピレーションが沸いたものを瞬間的にそのまま収められる。それも、今はカメラが進化しているから、すごく簡単に。

蓮井:写真って記録する道具ではなくて、やっぱりアートですよね。画用紙1枚あげるだけでこんなすごいもの作っちゃうんだから子どもってすごいよ、本当に自由。頭の訓練にもなるし、学校でも写真教育やったほうがいいと思いますね。写育。僕は来年もまた宮崎でワークショップやりますよ!

走る母親の足がどちらも空中にあるのが、ブレッソンの「サンラザール駅裏」的。偶然を捉えられる才能に拍手。

蓮井の愛娘も参加。メガネや帽子を使って頭の傷やシワを活かしたアイデアが秀逸。周りの子どもたちも大笑い。

鳩の目線までしゃがみこんで撮ったのに、体を全部入れるでもなく……。この自由な感覚がアート。

落ち葉と枝で“虫”を作った男の子。木漏れ日の当たり方がキレイで、明る過ぎないのもいい雰囲気を出している。

今回最年少男児(3歳)の作品。写真そっちのけで “きのこ狩り” をした後、お父さんの嬉しそうな顔ときのこを並べた楽しい1枚。

羊みたいな雲の "体" に、落ち葉の "顔" がついて、まるでゆるキャラのよう。黄色い葉と青い空のコントラストもキレイ。


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