つばめ

地元九州産の素材をふんだんに盛り込んだ、800系「つばめ」

九州新幹線は新八代〜鹿児島中央間が2004年に先行開業し、現在も800系「つばめ」が運行している。この車両のデザインを担当したのは、九州の数多く手掛けてきたことで知られる水戸岡鋭治氏。縦長の目の愛らしい顔つきのエクステリア、そして九州産の天然素材や日本の伝統色を多用したインテリアなど、他の地域の新幹線とはひと味もふた味も違った個性的なデザインに仕上げられている。

「リレーつばめ」と「つばめ」を乗り継ぎ、熊本から鹿児島中央へ。

今回は九州新幹線の車両基地の取材がメインだったが、せっかくなのですでに運航中のリレーつばめと800系つばめに乗車し、乗り心地やデザインを実際に体感してみることにした。

まずは熊本駅からリレーつばめに乗り込み、途中駅の新八代駅を目指す。所要時間は約20分。リレーつばめも800系つばめと同様、水戸岡鋭治氏がデザインを手掛けている。ダークグレーのボディや精悍な顔つきなど、愛らしいフォルムの800系つばめとは対照的にシックで重厚な印象だ。 「金属を多用したインテリアは男のガレージ風。外装、内装ともにノスタルジックな趣ですが、レトロ一辺倒というわけではなく、不思議と古さは感じません。水戸岡さん、ここまでコンセプトを一貫できるのはデザイナー冥利に尽きるでしょうね」

新八代駅に到着後は、ホームの向かい側に停車している800系つばめに乗り換え、一路鹿児島中央駅へ。所要時間は約35分。 「シートはプライウッドに西陣織、洗面室には藺草の暖簾など、素材使いがユニークで面白い。座面は大きく座り心地は快適で、窓には九州産の桜材を簾状に編んだブラインドがついています。窓の外の景色がうっすらと見え、隙間から入ってくる木漏れ日も心地いいですね」。

[総評] 柳本浩市が考える、九州の鉄道の魅力

「JR西日本とJR九州が共同開発した新型N700系さくらは、デザイン面ではややおとなしい印象を受けましたが、内装の作り込みには感心しました。特にグリーン車のシートは飛行機のビジネスクラス並の快適さを備えていると思います。一方、水戸岡さんがデザインを手掛けているJR九州の車両は、どれも個性的で強く印象に残りました。水戸岡さんのデザインは過剰と言えば過剰だし、個人的に好きか嫌いかと言えば、正直まったくツボではありません(笑)。でも、僕は旅や移動は非日常のエンタテインメントだと考えているので、ここまで徹底してやってくれると、それはそれで楽しい。乗り物ってユーザビリティや快適さが大事だし、デザイナーはよりミニマムなデザインを目指しがちだけど、“楽しい”という感情の部分まで取っ払ってしまったら面白くないですよね。その点、水戸岡さんのある意味“過剰”なデザインは、とても輝いて見える。水戸岡さんは800系つばめやリレーつばめだけでなく、数多くの九州の鉄道をデザインしているので、それらを巡りながら九州各地を旅するのもいいかもしれませんね」


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