尾崎牛

- Miyazaki-city, Miyazaki

トップシェフも惚れ込む "尾崎牛" とは?

宮崎市内から車で20分、太陽の光がいっぱいに降り注ぐのどかな斜面に「尾崎牧場」はある。カーナビを頼りに代表取締役・尾崎宗春さんと近くで待ち合わせ。牧場へ入る前に入念に車のタイヤを消毒し、いざ、出陣。パームツリーの繁る5haの土地には、2か所に分かれて、5棟ずつの牛舎が並んで建つ。ゆったりと清潔な牛舎の中では、やさしい目をした牛たちが仲良く暮らす。

尾崎牛とは、親の代から引き継ぎ、20年かけて育て上げた1500頭の優秀な黒毛和牛たちに、特別に授けた名前だ。現在の日本の畜産業界では、繁殖農家から買った仔牛を肥育農家が成牛に育て、出荷するというのが一般的な流れ。肥育地がそのまま牛の名称となる仕組みだ。松阪牛しかり、米沢牛しかり……。この慣例に従えば、尾崎牛は宮崎牛と呼ばれるわけだが、独自の飼育&肥育による、品質の違いをわかりやすくブランド化するために、敢えて自身の名を冠している。

その評判は、国内はもとより、海外にまで轟いている。アメリカのトップシェフ、トーマス・ケラーは、NYの「パ・セ」で、尾崎牛のステーキを一皿$1000でオンメニュー。また、「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」の成澤由浩シェフ、「キュイジーヌ[S]ミッシェル・トロワグロ」のリオネル・ベガ シェフなども、こぞって牧場を訪れている。
それは「これからの時代、求められるのは赤身のおいしいさ!」と、純血の黒毛和牛でありながら、従来のサシ信仰にとらわれない、健康的な赤身のおいしさを追い求めてきた結果だ。

何より大切なのはエサ、つまりご飯

小山のように積み上げてあるのは、自家配合飼料だ。多くの農家が、市販の配合飼料で育てているのに対し、尾崎牧場ではビールの搾り粕(大麦)を中心に、とうもろこし、大麦、小麦、大豆粕、きなこ、海藻粉末など、12種類の単味飼料を毎朝夕2時間かけてブレンドしている。全部人間が食べられるものばかり。ビールの絞り粕は、近隣のキリンビールの工場から分けてもらうのだという。何種か試したところ(実際に尾崎さんが食べてみて!)、キリンに軍配が上がった。「絞り粕がおいしいってことは、それだけ原材料にお金をかけているということ。普段からキリンを飲んでますよ~」と笑う尾崎さん。一方「このエサ、なんだかシリアルみたい!」と、ぱくりと食べそうになるトモさん。こんな美味しいごはんを毎日食べられる牛たちは幸せだ。
"赤身のおいしい牛肉" といっても、肉の旨みは脂の味で決まるのだという。「甘みがありながらも、すっきりとキレがよく、あと味のいい脂を目指していろんな配合パターンを試しました。そして10年かけて辿り着いたベストな配合がこれです」と胸を張る。
さらに大切なことは、防腐剤や抗生物質を一切使っていないということ。市販の配合飼料にはほぼ必ず混入されている。だから、それを避けるためには自分でブレンドするしかない。そしてそれができる農家の少ないこと…。

ストレス無用。牛だって仲よく暮らしたい

「なんだか、この牛たち、すごく仲がいい!」と、いたく感心するトモさん。尾崎牧場では、生後20ヵ月までは6頭ずつで飼育し、出荷までの1年は2頭か3頭にわけて集中管理をする。牛舎をまわると、囲いの中で、2~3頭ずつの牛がゆったり暮らしているのが見られる。たしかに彼ら(去勢というゲイ?)や彼女たちはすり寄ったり、話をしたり(!)、とても仲がいい。実はこの、気の合うもの同士を同室にして、ストレスをできるだけ減らすという環境づくりも必須。つまり、牛の性質を見極めることも、尾崎さんの大切な仕事。合宿所の部屋割りを担当する先生のごとしだ。

一貫生産で三つ子の魂百まで

最初に記した通り、日本の畜産は繁殖農家と肥育農家に分かれているが、そこにも問題がある、と、尾崎さんは指摘する。「牛だって、人間と同じで、子供のときにどう育てられるかがとても大切。餌しかり、環境しかり、愛情しかり」。だから、尾崎牧場では、繁殖から肥育までの一貫生産を旨とし、仔牛のときに骨格や性質など、ベースとなる部分をしっかり作り、そのうえで、長所をのばしながら成牛まで育てる。「なんだか、母が作ってくれたごはんのことを思い出しますね」とトモさん。コンビニ弁当である配合飼料を食べて育つ子と、愛情をかけて育てた新鮮な牧草をたっぷりたべて育つ子では、おとなになってからののびが全然違うというわけだ。

理想の循環型農業を実現

尾崎牛飼育のポイントは、実は、この牧草にも隠されている。そもそも、温暖で雨の多い宮崎は牧草の生育にはもってこいの土地。尾崎牧場では、飼育している1500頭の牛のふんで堆肥を作り、その堆肥をすき込んで牧草を育てている。一方、牛たちが食べる餌は有機肥料で育ったものばかりで、防腐剤も抗生物質も一切使用していないから、完全な有機・無農薬の堆肥ができる。その堆肥で育つ牧草は完全有機と、サステナビリティの高い完全な循環ができ上がっている。これこそが、ほんとうの意味での有機農業だ。このことだけからでも、尾崎牧場の牛たちがいかに健康であるかがよくわかる。将来は牛の堆肥だけで米や野菜を作り、牛肉とセットにして販売したいと、次のステージもしっかり見据えている。

そんな、素晴しい環境で育った尾崎牛の肉を、牧場から直送で購入できるというのだから嬉しい。今回栗原友さんが取り寄せて料理をするのは、尾崎牛の魅力がストレートに伝わる、次の3つの部位。渾身のレシピに乞ご期待!

赤身(もも肉)ステーキ肉

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赤身ステーキ イビサソース

赤身薄切り

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牛薄切り肉のフォー

ハンバーグパテ

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煮込みハンバーグ

From Producer
尾崎宗春さん

大学卒業後、最新の畜産を勉強したいとアメリカに渡りました。3000haの敷地で1万7000頭を飼育する大型農場では、促成のための餌や薬を投与する一方、散布する水を毎年10億円かけて購入。牧場とはいえ、まさに食肉生産工場。不自然という気持ちをぬぐえませんでした。帰国後、自分で牛を育てるからには、なにより、自分が食べたい牛を作ろうと思ったのです。自分で感動できない牛では、人を感動させることはできないから。そして、大切な家族や友人に、安心して食べさせられる牛肉を作りたい、と。それが私の牛肉作りの原点です。

Profile
尾崎宗春(おざき・むねはる)●大学卒業後、アメリカ・ワシントン州の牧場で研修後、ネブラスカ州立大学で畜産を勉強。帰国後、父親の営む牧場から100頭の牛を引き継ぎ、赤身のおいしい牛肉を目指して牧畜を始める。23年を経た今日、宮崎の広大な土地で1500頭の黒毛和牛を飼育するほか、牛の目利きとして、各地へ宮崎の仔牛を送る。全国の牛事情に精通し、日本の畜産業の向上を目指す。

Tomo's Comment
「普段おいしい、おいしいって食べている牛肉の後ろには、生産者の方たちのこんな努力があるんだなと、驚きました。あらためて、感謝していただかなきゃいけないと厳粛な気持ちです。そして、牛も人間もごはんがなにより大切ってこともよーくわかりました。おいしくって体にいいものを食べて、楽しくストレスなく暮らせば、いい牛ならぬ、いい女になれるかな。いや、毎日の食事は、すべての基本ですね。ほんとうに」

尾崎牛

宮崎県宮崎市大字大瀬町3741番地7

tel 0985-30-3037
fax 0985-41-2812

www.ozaki-beef.com


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