北九州市立中央図書館 / 磯崎 新

- Kitakyushu Municipal Central Library

プレキャストコンクリートの屋根が、
ねじ曲がる時に生まれるエロティックな大空間。

存在感のある大きな丸屋根が横たわり、時にその屋根が大きく湾曲する『北九州市中央図書館』。中に入ると、天井の梁が織りなすエモーショナルな演出にしばし言葉を失う。
中村拓志「連続させたアーチ構造が屈曲したときに現われる形状が、ゴシックの教会の垂直リブの柱を彷彿とさせて、とても美しい。かまぼこ型のアーチを連続させるという、形式的な手法を貪欲に徹底しているのに、そこに現われたものが装飾的で有機的でエロチックなものに変化しているのが魅力的です」

アーチ状の屋根(ヴォールト)はプレキャストコンクリート(工場で製作した円弧状のコンクリート板)を現場で組み立てたもの。
中村「この時代の建物の特徴のひとつに、メタボリズムと呼ばれる、増築を重ねて足していくという考え方があります。74年のこの図書館も、カマボコ型のアーチをどんどん増殖させていくことで、部屋が無限に成長していくという思いが感じられます。高度成長期の成長に対するポジティブな感覚だと思います。
ここでは図書室の他に視聴覚センターと歴史博物館が併設されていて、同時にどんな機能でも飲み込んでいくようなチューブとして建築が作られています。だからこの建物は、システム的な提案の要素が強い。でも、僕には、システム的で工業化された施工がもたらすドライな印象とは裏腹に、非常に有機的な空間となっています」

緩やかな階段を登りエントランスへアプローチする。公園の中にありながら、あえて外が見えない図書館になっている。

上・蛍光灯の青白い光の演出も美しい書架。棚板の小口は、書架の番号のシールを剥がしやすいように金属にしてある。

下・「ずっと眺めていたくなる場所です」と中村さん。エントランスの2階部分が閲覧室になっており、湾曲するアーチが美しい陰影を作る。

図書館は勝山公園の中の小高い丘の上に建てられている。
青銅色の丸屋根が遠くからでも目を引く。

建物解説

北九州市立中央図書館

1974年竣工。2本の連続するヴォールト(カマボコ型の屋根)がダイナミックにU字型に折り曲がる。正面にガラスの開口部があり、内部のスロープによりシークエンスが変化する。設計を手がけた磯崎新は大分県出身の建築家。論理性を重視するポストモダンの建築家の70年代を代表する作品だ。磯崎は建築設計活動にとどまらず、活発な評論や芸術文化活動においても広く知られ、世界の建築、芸術・文化の領域においても極めて知名度が高い。国内外を通じて幅広く活躍している日本人建築家のひとり。

北九州市立中央図書館

福岡県北九州市小倉北区城内4-1

tel 093-571-1481

www.city.kitakyushu.jp/


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