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建築家・中村拓志が巡る、九州建築の旅。ARCHITECTURE in Kyushu 第1回 福岡編 >

ネクサスワールド/レム・コールハース、スティーヴン・ホール 他

ネクサスワールド/レム・コールハース、スティーヴン・ホール 他

- NEXUS WORLD

世界の6人の建築家が
競作した集合住宅作品群。

分譲住宅地であるため、『ネクサスワールド』の内部見学はできない。けれど今回、中村拓志さんのNAP建築設計事務所スタッフの恩師であり、ここに実際にお住まいの九州大学の末廣香織先生の御好意により、建物内を拝見できる機会に恵まれた。
『ネクサスワールド』は、建築家の磯崎新のコーディネートにより、国内外の建築家6名が競作した集合住宅群である。黒い石のような大きな庇を持つ外観が特徴のレム・コールハース棟と、その隣に建つ不規則な窓を持つスティーブン・ホール棟は、ともにバブル景気の最中であった1991年に竣工している。

レム・コールハース棟

中村拓志「ボリュームのプロポーションがとてもおもしろい建物です。2階には重厚感のある重そうな黒いボリュームを、逆に1階と3階は軽やかに作られています。この黒い部分は、あえてフェイクのものをしつらえていますね。日本の城壁をモチーフに、石を型取りしたコンクリートに塗装を施したものです。
他にも、エキスパンドメタルやガードレールなど、道路工事などで使われるようなディテールや素材をあえて使っています。コールハースのジャンクデザインが見られる、日本唯一の建物ですね」

上・城壁を模した、黒いボリュームが特徴的。道を挟んで、レム棟、コールハース棟の2棟に分かれている。

下右・1階はエントランス、黒いボリュームの部分の2階に寝室、開放的な屋上テラスのある3階はリビングになっている。

下左・スティーブン・ホール棟から、レーム・コールハース棟を望む。黒いボリュームの2階の上に、広いルーフテラスと採光性に優れた3階リビングがある。

スティーブン・ホール棟

アメリカの建築家、スティーブン・ホールの日本で最初のプロジェクト。1階のテナント部分の上、2階に浅い池があり、それを挟むように住宅棟が櫛形に並ぶ。部屋の両側に抜けの良い空間が確保されているので、戸建てに近い感覚の集合住宅だ。
中村「スティーブン・ホールは、自然現象をそのまま建築に取り込む建築家です。2階に水盤を作ることは、普通のディベロッパーではまず考えられない発想ですね。
また、スティーブン・ホールは手仕事感を残すことを得意としているので、ディティールが細かいことも特徴です。手すりなどの鉄部の造作のこだわりに、彼らしさが垣間見れます」

上 / 下左・最上階の外廊下は庇が短く、明るい光や雨がそのまま降り注ぐ。

下右・1階に店舗が入り、2階より上に住宅が入る。2階部分の水盤を挟むように、住宅棟が並ぶ。公道から大きくセットバックして建っているので、ゆったりとした道幅が確保されている。この部分は私有地になるので、1階の店舗がカフェテーブルなどを出すことも可能だ。地域に密着した店舗が入り、街の顏を作っている。

左・水盤の淵を歩き、各住戸にアプローチする。各住戸ごとに違った形の窓が不規則に並び、コンクリート打ち放しの外壁に個性を添えている。

右・黒の玉砂利の上にごく薄く水が張られている。年に2回の清掃で、それほど汚れることもなく美しく保たれているそうだ。

左・マンションのエントランスの庇の部分につけられた造作。庇にたまった雨水が樋を流れ、パイプの中に落ちる様子を見ることのできるシカケ。

右・各住戸の手すりも手づくり感のある鉄の造作になっている。

建物解説

ネクサスワールド

1991〜1992年に竣工。建築家の磯崎新のコーディネートにより、国内外の建築家6名ーースティーヴン・ホール(Steven Hall)、石山修武、レム・コールハース(Rem Koolhaas)、マーク・マック(Mark Mack)、クリスチャン・ド・ポルザンパルク(Christian de Portzamparc)、オスカー・トゥスケ(Oscar Tusquets)が競作した集合住宅群。プロジェクトは1980年代後半にスタート。レム・コールハースが設計したレム棟・コールハース棟は、1992年度日本建築学会賞を受賞している。当初は集合住宅群のほかに、磯崎新自身の設計による高層部がブリッジで連結するツイン・タワーが建設される予定だったが、バブルの崩壊により計画が見直され、規模を縮小したタワーが建てられている。

ネクサスワールド

福岡市東区香椎浜4丁目

*空き物件が出る都度、分譲や賃貸の募集がある。取材に訪れた日も、レム・コールハース棟の物件のオープンハウスが行われていた。


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