鹿児島ますや[原種に近い鹿児島黒豚]

- Aira-city, Kagoshima

豚肉、大好きなんです! と、声を大にする栗原友さん。イベリコだ、梅香豚だと、ブランド豚が花盛りだが、美味しい豚の元祖といえば、鹿児島の黒豚。ところが、その黒豚の評判が、近年、どうも芳しくない。そこでトモさん、なんとか、美味しい黒豚を食べたいと、四方へ声をかけた。紹介してもらったのが、空港にほど近い姶良市にある「鹿児島ますや」。本来の鹿児島黒豚のおいしさを広く知らしめたいと、米増昭尚さんが原種に近い黒豚にこだわり、完全な無添加でハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工品造りに取り組んでいる工房だ。

原種に近い黒豚にこだわる

「鹿児島ますや」のキャラクターになっている豚は、鼻がぺちゃんとつぶれている。実はこれこそが、在来の黒豚の証だ。鹿児島黒豚は1300年代の半ばに中国から琉球に渡って育てられた島豚に、イギリスのバークシャー種をかけ合わせて、江戸後期に作られたものだという。滋味豊かな肉質と甘みのある脂肪の質は絶品。ところが、一般の白豚と比較し、小型なのに生育日数がかかり、産む子豚の数も少ないと経済効率が悪い。また、現在の日本の豚肉の格付けが、肉質には関係なく、ロースの芯の大きさと背脂肪の厚さにより決定されるため、小型の鹿児島黒豚では市場では高値がつかない。そうした要因が重なって、飼育農家は激減。アメリカンバークシャーを導入し、新しく大型の鹿児島黒豚を作り上げた。経済性は向上したものの、肉質、食味という点ではどうしても昔の黒豚にかなわない。昨今の黒豚がいまひとつ、と言われる所以だ。
しかし、そうした現状を憂い、本来のおいしさを取り戻そうと、鹿児島黒豚どうしをかけ合わせる "戻し交配" により、昔の黒豚に近づけた豚を生産する、心ある農家もでてきている。「飼料を研究するなどして、農家を応援しながら、共同で原種に近い黒豚の復活に取り組んでいます。もちろん、うちで扱う肉は、100%そうした契約農家の黒豚の肉です」と米増さん。

無添加ハムをつくりはじめた理由

米増さんは、鹿児島大学の農学部で畜産加工を学んだのち、中堅ハム会社や大手飼料メーカーの子会社で計6年、ハムソーセージの研究に没頭後、独立した。ところが、17年前に生まれた長女に重いアトピーがあることがわかり、藁をもすがる思いで医者を訪ねたところ、添加物だらけのハムやソーセージ長年作って食べてきた天罰だと言われ、返す言葉もなかった。そして食を深く見つめ直し、一念発起。「何がなんでも無添加の豚肉加工品を作ろうと決心しました」のだという。
奥様の悦子さんと2人で始めた工房も、今では20人のスタッフを抱える大所帯。加工品の種類もハム、ソーセージ、ベーコンから、餃子やコロッケまで数十種。そして、それらはすべてが、完全な無添加というから見事だ。一口に無添加といっても、それは、保存料や防腐剤はもちろん、結着剤から発色剤、化学調味料まですべてのことであり、肉加工品業界では常識を覆すセンセーショナルなこと。だから、国内はもとより、本場ドイツにも手本となるレシピがない。「レシピの実験結果を書き込んだノートが何十冊にもなります。発色剤を使わないと美味しそうに見えない、などの問題を、一つ一つ解決しながら、独自の製法を確立しました。ドイツの職人も驚いていましたよ」と胸を張る。

大分産の桜のチップ。ナチュラルなスモーク香がつく。

工房拝見

さっそく工房へ案内してもらった。手作りのスモーカーには、あめ色に輝くベーコンが吊るされている。あたりには大分産の桜のチップでスモークしたいい香りが立ち込めている。数種の塩と香辛料を丁寧にすりこみ、ピチットシートでくるんで2日間。いったん塩を洗いながしてさらに60日間(!)も熟成させるのだという。あとは、自然の力で乳酸発酵した豚バラ肉を、時間をかけてじっくりと冷燻。正真正銘、一切の添加物を加えていなベーコンだ。「時間と手間をかけることで、ほんとうにおいしいベーコンができるんですね」と、トモさん。もう少しで完成という魅惑のベーコンをうっとりと眺めている。
そして、10分後、中心温度が70℃まで上がった焼豚が、湯気の上がったスチームオーブンから取り出される。さっそく熱々を切り分けてもらって、一切れ味見。
「わ、さっぱりしていて、でも味が深くて、好みです!この旨味は昆布?」
「さすが、鋭いね。きちんと美味しいものを食べてきた証だね」と、感心する米増社長。
焼き豚のつけ汁は、チョーコー醤油の特選に昆布+みりん+塩少々。1/3 ずつ継ぎ足して2~3日間漬け込むのだそう。「ますや」では、このように、化学調味料を使わない代わりに、日本ならではの旨みの補強など、独自の工夫を凝らしているのだ。
お次はパストラミの仕込み。黒豚の肩ロースを260g~270gのブロックに切り分け、植物由来のミネラルを均等に噴霧して、腐敗を防ぐ。これが保存料いらずの秘密兵器だ。そして5種類の塩とスパイス類をブレンドした塩を丁寧にすりりこむ。ここまでしたら、00日間おき、あとは取り出して流水で洗って塩を流し、00分間ボイルして仕上げるだけ。時間が旨みを醸してくれるのだ。

生ハムと生ベーコンの盛り合わせは、甘い豚の脂がろけるよう。1200円

がぶりとかみつけば肉汁があふれる。         

やっぱりトンカツは王道。豚珍館へきてこれを食べなきゃウソだ。900円

締めには黒豚のしゃぶしゃぶを。1200円

さっとレアに火を通すだけでOK。

脂が甘いのにさっぱりしていて、するりと体に入るからですね。

レストラン豚珍館で黒豚の魅力を堪能

工房での豚肉加工品づくりが軌道にのったころ、本物ゆえ、正直ゆえの美味しさを、もっと広く知ってもらいたいと、豚肉料理の専門店を開いた。
工房見学のあとは、待ちに待った試食タイム。
「さ、どんどん食べてください。食べなきゃ、違いがわからないでしょう」という、米増さんの言葉も後押しして、ついつい、生ハム、ソーセージ、トンカツ、餃子、カレー、スパゲッティ、豚しゃぶ.……と、勢い込んでオーダー。
すっかり豚肉の旨みを堪能したトモさん、購入するならどの部位がおすすめですか?とリサーチも万全。
「なんといっても脂身のおいしさが信条だから、まずは豚ばら。そしてしっとりとジューシーな肉質も堪能してもらいたいから、ロース」と米増さん。
「ロースは骨付きでも買えますか?」聞くと、「半身の1本分、5kg位のブロックになります。骨付きの美味しさは最高だけれど大丈夫?」と米増さん。
「うーん、5kg…… でも、4人で分ければあっという間。ハイ!お願いしま~す」。到着が楽しみだ。

渾身のレシピに乞ご期待!

From Producer
米増昭尚さん

「根っからの凝り性、そして負けず嫌いなんですね。やるからにはとことん、というのが持論です。例えば、パスタや餃子、カレー、ラーメンも店で出していますけれど、麺や皮などの素材を手作りするだけではなく、専門店に負けない味づくりをモットーにしています。また、全国へ生肉のおいしさを届けるために、最先端の冷凍技術のマシーンを購入したり、いや、安全と美味しさのオタクなんですね」

Profile
鹿児島大学農学部で畜産加工を学び、南九州畜産興業のハム工場に入所。1992年に、食肉加工業「鹿児島ますや」を設立。1997年、こだわりの豚肉料理や豚肉加工品を食べさせるレストラン「豚珍館」を創業。鹿児島伝統の黒豚の復活に尽力するとともに、工房には最新鋭の機器を導入し、美味しさと安全性の追求に余念が無い。現在は鹿児島大学の非常勤講師も務める。

Tomo's Comment
「こうやって、ますやさんの加工品作りを見せてもらうと、いかに、一般的に出まわっている肉加工品が添加物だらけなのかということがよくわかります。そして、無添加を貫くことが、いかに大変なことであるか、それはコスト的にも時間的にも、人件費つまり手間にしても。生半可な気持ちではではないですね。そして同時に、それも、美味しい豚肉があって初めてできるものなのだということも納得しました。ぜひ応援したいです」

鹿児島ますや

鹿児島県姶良市宮島町29-3

tel 0995-66-4186
fax 0995-67-0904
www.kurobuta-ichiban.co.jp

豚珍館
鹿児島県姶良市西餅田303-1
tel 0995-65-5111


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  • ナビゲーションmap へ
  • 01 鹿児島ますや

    原種に近い鹿児島黒豚
  • 02 南種子食糧

    蜜の入った安納芋
  • 03 鹿北製油

    国産のごまで作る黒ごま油
  • 03 坂元醸造

    壺で発酵・熟成させる黒酢
  • 03 番外篇
    池浪刃物製作所


    本種子包丁と本種子鋏
  • 今月のレシピ[coming soon]
    鹿児島ますや
    ●豆乳ごま鍋の黒豚しゃぶしゃぶ
    ●ポークチョップのステーキ
     オニオン、マッシュポテト添え
    ●黒豚カツカレー すりごまソース
    ●グリーンベジのソテー ベーコン風味
    ●焼豚と香味野菜のサラダ
    南種子食糧
    ●安納芋のニョッキ ゴルゴンゾーラソース
    ●安納芋のポテトケーキ コーンソース
    鹿北製油
    ●ごま油の混ぜそば
    ●フムス
    坂元醸造
    ●かれいの唐揚げ 黒酢あんかけ
    ●生姜のはちみつ黒酢漬け

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