フンドーキン醤油[九州が誇る正直な醤油]

- Usuki-city, Oita

鹿児島出身の友人の家に行くと、必ず出された「フンドーキン醤油」。ほんのり甘口でどこか懐かしい、心にのこる優しい味。そんな醤油のふるさとをいつか訪ねてみたいと、ずっと思っていた、栗原友さん。「フンドーキン醤油」は、石仏の町として知られる、大分県臼杵に、1861年に創業。豊後水道に面した臼杵は、ひなびた城下町の面影を今に伝える、九州一の醸造の町としても知られる。今なお残る20数社の醤油メーカーの中でも、「フンドーキン醤油」が最も古い蔵の一つだ。現在は、臼杵インターのほど近く、豊かな自然の残る山の裾野に醤油工場を構える。広報の藤原正徳さんと待ち合わせて、さっそく社内を案内してもらった。

愛される醤油造りを目指して

うず高く積み上げられた、出荷を待つばかりの一升瓶入りの醤油たち。

濾過後、加熱殺菌された醤油がボトリングされる、近代的な工場。

「フンドーキン醤油」といえば、九州一の生産量を誇る名門。最高級の昔造りの醤油から、手の届きやすい庶民の味方まで、そして麺つゆからポン酢までと、実に幅広い商品を手がけている。それは、正直な製品造りをモットーにしながらも、一部の人だけしか使えない(使わない)極上品だけに特化するのではなく、一般庶民の食を支えるボリュームゾーンにこそ全うな商品を、という良心的なモノづくりの姿勢が生きていているからだ。
その代表選手が、1971年の発売以来、年間で500000万本売るロングセラーの「ゴールデン紫」だ。材料は脱脂大豆(遺伝子組み換えをしていないもの)と国産小麦。アミノ酸も使用しているが、しっかりと熟成期間をおくことで、充分な旨みと香りを引き出している。
また、フンドーキンでは、ゴールデン紫の開発時から、保存料を使用しない、本来の醤油に立ち戻った製品づくりを再開した。いわば、原点ともいうべき1本である。同じラインの中で、鹿児島への出荷用に甘口に仕上げたものが、ゴールデン紫の甘口。トモさんがお友達の家で食べていたのは、これだ。 「いわゆる甘口の醤油というだけでなく、コクだしや、旨みの添加に、と、考えると、使い勝手が広がります。いわば、みりん要らず、ですね」と絶賛。

中央の茶色く、てらてらと光沢を帯びている板状のものがもろみ。

醤油ができるまで

工場では、醤油造りの過程のハイライトでもある、もろみを搾るところを見学させてもらった。「1000kgの重さでプレスをかけると、もろみから液体があふれでます。これが醤油の原液です」と藤原さん。ここで、醤油の造り方を、簡単におさらい。① 蒸した大豆と炒った小麦を混ぜ合わせる。② ①に麹菌を混ぜる。③ 食塩水を加えて発酵・熟成させ、もろみを作る。④ 充分に熟成させたもろみを搾る。必要に応じて濾過、火入れし、私たちが口にする醤油となる。
「この流れをベースに、目指す醤油の方向性により、原料である大豆を国産の丸大豆を使うか、脱脂大豆にするか、小麦は? 塩は?と、レシピが決まっていくんです」と藤原さんは説明する。

巨大な木樽に託した理想の醤油造り

日本一大きな木の樽の前で、藤原さんの説明に聞き入る。

木樽の説明とともに、フンドーキンの醤油醸造への思いが書きこまれている。

工場を入ってすぐに目にとまる、美しくも巨大な木の樽。「なんだか、斬新な建築物のようですね。醤油の蔵ですか?」と、トモさん。実は、これこそがフンドーキンの真摯なモノづくりの姿勢の象徴なのである。
「いい意味でも悪い意味でも、醤油造りが近代化してしまった中で、微生物の働きだけで、時間をかけて醤油を造るという原点に、今一度立ち返り、300年前の醤油をもう一度造りたい、そんな社長の思いが結実した、特別の醸造樽なんです」と藤原さん。
木材はヒバと吉野杉を選び、特殊な技術を持つ職人が組み立て、ワイヤーで固定。日本一大きな木樽が完成した。そして原材料も、国産丸大豆に国産小麦、国産の天然塩……と、300年前であればあたりまえだったことが、今では醤油造りには贅沢とされる本来の原材料を取り揃え、丁寧に仕込む。巨大な樽で3年の熟成期間を経た醤油は、キリッと風格がありながらも、奥の深いまろやかな旨味を備え、華やかに香りが立ち上がる。ゴールデン紫が庶民の味方なら、こちらは崇高な味、といったところか。
ゴールを設定したら、そこへ辿り着くベストな方法を模索し、邁進。そんな徹底した実行力こそが、企業力なのだろうと、感心させられる。

味噌汁ご膳700円。クチナシで色づけた黄飯が独特。

街道沿いに、昔の商店のままの造りを残す、小手川商店。

いただきまーす! 卵黄の味噌漬けと卵白を寒天で固めた淡天も美味。

フンドーキンの天然醸造の醤油をずらりと並べてテイスティング。

創業時の面影を残す
小手川商店を訪ねて

工場を後にして、創業の地に昔のままの姿を残す小手川商店へ向かった。「わー、風情たっぷりですね、明治時代へワープしたみたい」と喜ぶトモさん。創業時の蔵の一部をそのまま残している店舗では、自社の多彩な醤油を販売するほか、小手川商店オリジナルの味噌を使った簡単な料理を食べさせる定食屋さんの仕立てになっている。また、「秀吉と利休」で女流文学賞を受賞した明治の作家・野上弥生子は、創業家の出身で、小手川商店の斜め向かいには、生家の佇まいが記念館として残されている。その隣には、並行して営まれていた造り酒屋もあり、こちらを覗いてみるのも楽しい。すっかり旅気分満喫の一角だ。 朝早くからの移動で、気づけばお腹もすいている。さっそく、トモさんはオリジナルの赤麦みその味噌汁定食をオーダーした。「色は濃いのに、味はマイルドで、心地よい酸味があっておいしいですね」と、すっかりお気に入り。
ひとごこちついたあとは、フンドーキン醤油の全ラインアップを味見。深い旨みとキリッとした後味に、感心することしきりだ。「吉野杉とヒバの大樽で熟成させた『吉野杉樽天然醸造醤油』と『八本木樽醤油』も品があって大好きです。でも、九州らしさにこだわるならこちらかな……」と、悩んだ末にゴールデン紫の甘口をチョイス。味噌は、朝定食の味噌汁に使われていた「麦味噌昔がたり」を購入した。「手をかけ、時間をかけ、きちんと作っているものってやっぱり素晴らしい。基本の調味料だからこそ、いいものを使いたいですね」

渾身のレシピに乞ご期待!

ゴールデン紫(甘口)

↓

がんもどきと大根の煮物

麦味噌昔がたり

↓

牛スジの味噌煮込み

From Producer
藤原正徳さん

「醤油が生まれて400年以上、臼杵の地に醤油が伝わってからでも300年を超えるはずです。その間、脈々と受け継がれてきた伝統を大切にしながらも、現代科学の力も駆使してできるところは近代化し、合理化をはかる、というのがうちの醤油造りの基本です。社名のフンドーは、かつて重量を図る際に用いられた分銅からきていて、正確さや正義を現しています。「キン」は創設者の小手川金次郎の名前からとったもの。そんな正直な醤油造りを心がけています」

Profile
大分県臼杵の出身。子供の頃から、当たり前のように、フンドーキン醤油がある家庭で育ち、愛社精神は人一倍。1992年フンドーキン醤油に入社し、現在も、車で15分のところに住む。地元の誇りであるフンドーキン醤油を、地域の活性化につなげたいと、広報活動に日々励む。

Tomo's Comment
「山を背景にそびえる雄大な木の樽が印象的でした。あの中でゆっくり醤油が熟成しているのだと思うと、感慨深いですね。どんなに科学が進歩しても、時間が作り出すおいしさを、人間が短縮することはできないのですね。それを無理に促成しようするから、すべてがおかしくなってしまう。消費者の意識が高くなれば、メーカーの認識だって変わるはずですよね。きちんとモノを作っている企業を知ると、改めてその大切さがわかります」

フンドーキン醤油

大分県臼杵市大字臼杵501

tel 0972-63-2111
fax 0972-63-1505

www.fundokin.co.jp


title
  • ナビゲーションmap へ
  • 01 村田水産

    鯖の最高峰・関鯖
  • 02 フンドーキン醤油

    九州が誇る正直な醤油
  • 03 由布院 玉の湯

    手作りの柚子こしょう
  • 03 近藤養蜂場

    自然のままの蜂蜜
  • 今月のレシピ[coming soon]
    村田水産
    ●焼き鯖ずし
    ●関鯖のりゅうきゅう風
    ●関鯖のリエット
    フンドーキン醤油
    ●がんもどきと大根の煮物
    ●牛スジの味噌煮込み
    由布院 玉の湯
    ●鶏のハンバーグ 柚子こしょうあん
    ●揚げいか団子のスープ煮 柚子こしょう添え
    近藤養蜂場
    ●ブルーチーズのナッツ蜂蜜がけ
    ●スペアリブのコーヒー蜂蜜焼き

other features

ページトップへ戻る

Follow us!