由布院玉の湯[手作りの柚子こしょう]

- Yufu-city, Oita

爽やかで香り高く、ほんの少し添えるだけで、料理がぐっと見違える柚子こしょうが大好きという、栗原友さん。お土産に「由布院玉の湯」のそれをいただいて、その清冽な辛みに驚き、以来ずっと気になっていたという。製造の行程を知りたいと、見学を申し込んだところ、快諾してもらえた。せっかくならと、時間を合わせて、憧れの「玉の湯」でランチも楽しむことに。

湯布院を代表する名旅館「玉の湯」へ

歴史と格調を感じさせる「由布院 玉の湯」の正面玄関。

臼杵から車を飛ばして1時間半。風雅な湯布院の町に到着。平日だというのに観光客で賑わう道を徐行してようやくかの地へ辿り着く。きらきらと木漏れ日が輝く露地をゆっくり進み正面玄関へと向かう。その行程だけで気分が高揚するほどに、湯布院の空気や光は美しい。
「なんて気持ちいいんでしょう。すみずみにまで、美意識が行き届いていますね」と、うっとり目を細めるトモさん。まずは併設のレストラン「葡萄屋」で昼食をとる。迷った末にトモさん、料理研究家としては、大大大先輩の辰巳芳子さんの手がけた野菜スープをいただく。ほかの皆は、お弁当と牛重で意見がわかれ、それぞれに大満足。

かごに山盛りの柚子を次々にむいていく。1個たったの30秒と、熟練のワザだ。

もてなしの心が名品土産を生む

1953年に創業した「玉の湯」は、湯布院を代表する別格の旅館として、その名を馳せている。心づくしの土地の美味をふるまい、ゆっくりと湯に浸かって疲れを癒してもらう、そうしたもてなしの気持ちは創業時からまったく変わっていない。朝食に出していたジャムや鶏そぼろなどが好評で、ゲストの要望に応える形で、いつしかお土産として売れられるようになっていった。今でこそ、どこの旅館でも力を入れている、オリジナル土産の走りだ。柚子こしょうもそんな定番土産の一つ。その昔はどこの家庭でも作っていたもので、「玉の湯」も例外ではなく、ほしいというお客様に分けていたものがいつしか商品化したのだそう。

柚子皮、青唐辛子を粉砕したもの。

搾りとった柚子果汁と日本酒を加える。

ミキサーにかけて、ねっとりするまで攪拌する。

重石をして1週間熟成させる。

大分県の農家で採取された青唐辛子。こしょうとは九州の方言で唐辛子のことを指す。

柚子こしょうの工房拝見

柚子こしょう作りの真っ最中だという工房へ、さっそく案内してもらった。木の扉を開けると、信じられないほど清々しい香気が流れてくる。そこに身をおくだけで、確実にアロマテラピー効果があるのでは、と感じるほどだ。「体の中からきれいになれそう。一生、この中にいたいって気持ち!」とトモさんが胸いっぱい空気を吸い込んでいると、「手は荒れるし、大変なのよ」と、テーブルの前でせっせと柚子の皮をむく、おばさんたちに茶化される。
現在、柚子こしょうを含め、おみやげの品の一部の製造を引き受けているのが、この花田工房だ。責任者の花田浩二さんは、名人として名を馳せた先代の玉の湯の料理長の息子さん。珠玉のレシピの一部をしっかりと受け継いでいる。

完全手作業の
柚子こしょう作り

さっそく、柚子こしょうの作り方を習った。まずは、清冽な青柚子の皮を皮むき器でくるりとむいてゆく。実はこの必殺皮むき器、栗の皮むき用のはさみだ。熟練の皮むき職人であるおばさんたちが、試行錯誤のうえ、たどり着いたのだとか。
「慣れてくると、意外にむきやすいですね。ほしくなっちゃったりして」皮むきの手伝いを始めたトモさんもすっかり楽しんでいる。残った果肉は、果汁をすっかり搾りとる。次は青唐辛子を種ごと砕き、柚子皮も加えて細かく粉砕する。以上の、柚子皮、青唐辛子、柚子果汁、酒、塩をミキサーにかけてペースト状にして樽に入れ、重石をして1週間ほど漬け込む。そして充分に発酵熟成させてでき上がりだ。
昔は家庭でも作っていたと言うだけあって、行程そのものは実にシンプル。しかしながら、柚子皮、青唐辛子、柚子果汁、塩の配合は、試行錯誤を重ねるなかで辿り着いた黄金の比率だ。もちろん原料もできる限り地元産の減農薬のものにこだわっている。香り高い青柚子は宮崎県西良村の上米良さんの育てているもの、青唐辛子は大分の農家のものをそれぞれ使用している。
「玉の湯さんのものは、青柚子の色も鮮やかでひときわ清冽ですね。秘密は?」とトモさん。
「柚子の皮をむくときに、なるべく青い部分だけになるように丁寧にむくことです」と花田さん。
「え、私の皮むき大丈夫だったかしら?」。
「上手にむけてましたよ。塩加減もポイントですから」と花田さんも笑う。
そんな柚子こしょう作りは、柚子が実ってから黄色く色づく前の数ヶ月に行われる。1年分を仕込むのだから大変だ。トモさんが訪れた11月の初旬は、猫の手もかりたい仕込みの最盛期。少しばかり皮むきの役に立ったであろうか。

「花野そば」で、柚子こしょうを堪能

向いにある「花野そば」は、花田さんのお父様、つまり先代の料理長が、湯布院には、旅の途中に寄る気の利いたそば屋がないからと、15年ほど前に開いた店だ。シックな内装に気分も落ち着く。お薦めに従って「湯葉そば」を注文。薄味に炊いた湯葉と野菜に柚子こしょうをたっぷりつけて、そばの具にして食べてると、うーん最高。2:8の割で打った細切りのそばの香りが一層引き立つ。
「この竹のお箸、すごくきれいですね」ひとごこちついて、改めて気づくトモさん。聞けば、「花野そば」は、竹工芸の作家と初代料理長が意見を出し合って作ったお店なのだそうだ。欄間や電気の傘など、随所に粋な竹の工芸品が配されている。お箸もその一貫として作られたものだそう。 今度は絶対にゆっくり泊まりたい! そんな名残惜しい気分のなか、ご主人をはじめ、多くのスタッフに見送られて玉の湯を出発。いつまでも頭を下げての丁寧な挨拶に、一期一会の出会いを大切にするもてなしの心とは、まさにこのことと、胸が熱くなる。

渾身のレシピに乞ご期待!

柚子こしょう

↓

鶏のハンバーグ
柚子こしょうあん

揚げいか団子のスープ煮
柚子こしょう添え

From Producer
花田浩二さん

「今でこそ、柚子こしょうはすっかり全国区の調味料になりましたけれど、つい20年前までは、九州の中でも、大分県一体を中心としたローカルな調味料だったんですよ。全国からいらっしゃるお客様に召し上がっていただき、お土産で持って帰ってもらいと、その名を広めたことには幾分うちが貢献しているかもしれませんね。でも、どんなに請われても、今の手作りで作れる量以上は作りません。原料となる良質な柚子の確保ももちろんですが、一回一回、味を確かめながら丁寧に作るにはこの量が限界だからです。大量生産ではなく、手で作ることの価値を伝えていきたいと思っています」

Profile
玉の湯初代料理長・花田強志さんの長男。父のもとで料理の手ほどきをうける。現在は花野そばのオーナーであるとともに、工房で柚子こしょうやジャムなどのお土産品を手作りするほか、パティシエとして、玉の湯特製のケーキを手掛けている。

Tomo's Comment
「柚子こしょうはもともと大好きでよく使っていましたが、数年前にお土産で「玉の湯」さんのものをいただいて、驚きました。香り高く、すっきりとキレがよくて、ほかのものと全然違うなと。今回、作る様子を見せていただいて、まるで家庭で作るようなほんとうの手作りなんだと、嬉しくなりました。だからおいしいんですね。来年は、柚子こしょう作りに挑戦してみようかなと思っています。もちろん玉の湯さんのものを買った上で、ですけれど」

由布院玉の湯

大分県由布市湯布院町湯の坪

tel 0977-84-2158
fax 0977-85-4179

花野そば
大分県由布市湯布院町川上2715-4

tel 0977-84-2008
営業時間:11:00~売り切れじまい
定休日:不定休


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    鯖の最高峰・関鯖
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    九州が誇る正直な醤油
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    手作りの柚子こしょう
  • 03 近藤養蜂場

    自然のままの蜂蜜
  • 今月のレシピ[coming soon]
    村田水産
    ●焼き鯖ずし
    ●関鯖のりゅうきゅう風
    ●関鯖のリエット
    フンドーキン醤油
    ●がんもどきと大根の煮物
    ●牛スジの味噌煮込み
    由布院 玉の湯
    ●鶏のハンバーグ 柚子こしょうあん
    ●揚げいか団子のスープ煮 柚子こしょう添え
    近藤養蜂場
    ●ブルーチーズのナッツ蜂蜜がけ
    ●スペアリブのコーヒー蜂蜜焼き

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