クリエイティブ・ディレクター高松聡が語る、宇宙への憧れ

- Tanegashima, Kagoshima

鹿児島の南、種子島東南端の海岸線に面し、世界一美しいロケット発射場と言われる種子島宇宙センター。1969年、旧宇宙開発事業団により設立され、総面積は約970万平方メートルにも及ぶ。センターには、H-IIAロケットやH-IIBロケットを打ち上げる大型ロケット発射場、衛星組立棟、宇宙ヶ丘レーダステーションなど、国内における宇宙開発の技術が集結している。打ち上げやエンジン燃焼試験の当日以外は、自由に射場の様子を見学でき、センター内にある宇宙科学技術館でもロケットの打ち上げなど、模型や映像で体験することができる。まさに "宇宙に一番近い島" である種子島を、クリエイティブ・ディレクターの高松聡とともに巡った。

— 種子島宇宙センターの印象は?

「今回初めて来たのですが、とても広いですね。僕が宇宙に憧れたのは『アポロ11号』を見た1969年、6歳の時です。それから、20歳の時に旅行でアメリカのNASAへ行きました。仕事で宇宙に関わるようになったのは、2001年。ロシアのバイコヌールでポカリスエットのCMを制作しました。その時に初めて、打ち上げの射場に行きました。それから約10年かかり、日本のロケットの打ち上げ施設である種子島宇宙センターに来る事ができました。僕が手がけた宇宙CMはロシアとアメリカで撮影していたので、日本のH-IIAロケッの打ち上げを見る機会がなかったのです」

— では、ロシアやアメリカの宇宙施設と種子島宇宙センターの違いは?

「ロシアのバイコヌールは砂漠の真ん中にあり、荒涼とした風景が広がります。一方、種子島は思っていた以上にとても綺麗でした。白いビーチと隣接した、こんなに美しい打ち上げ場は見たい事がない。アメリカのケネディ宇宙センターも海沿いにありますが、南の島のような雰囲気はありません。種子島は非常に綺麗で美しく、島全体が宇宙施設を歓迎しているように感じました」

— ロケットの打ち上げを、かなり間近で体験されたとか。

「2001年の夏に、撮影前のロケハンでロシア連邦宇宙局の協力のもと『バイコヌール宇宙基地』へ行きソユーズの打ち上げを体験しました。ロケットを打ち上げる時には、バリバリバリッという空気を切り裂くような音がします。2キロくらい離れた所で見ていたのですが、音が10秒くらい遅れて届くんです。それまで感じたことのない、音と光のスピードの差を体感しました。軍隊などに入れば見る事もあるとは思うのですが、ロケットのような大きな塊と光がゆっくりと空へ上がっていくことはなかなかない。そのゆっくり上がって行く様は優雅で荘厳で、非常に感動しました」

— 撮影本番の打ち上げは、いかがでしたか?

「本番では、ポカリスエットとHDカメラ、そして撮影してくれる宇宙飛行士を乗せた打ち上げを体験しました。そのロケットには、世界で初めて宇宙旅行をしたデニス・チトーさんという方が、スペースアドベンチャーズ社の仲介で乗っていたんです。その時に初めて、“今、人類は宇宙旅行ができるのだ”ということを実感しました。そして2005年に自分で『SPACE FILMS』という会社をつくり、カップヌードルのCMをロシアで撮影しました。2度目の撮影でしたが、宇宙にカメラを置いておくと放射線でダメになってしまうので、新しいHDカメラも一緒に打ち上げました。そのカメラは現在もISS(国際宇宙ステーション)にあります」

— 2009年にはNASA(アメリカ航空宇宙局)でのCM撮影が実現したんですよね?

「NASAの協力でフロリダにある『ケネディ宇宙センター』と、テキサスにある『ジョンソン宇宙センター』で、打ち合わせやトレーニングを実施し、国際宇宙ステーション内でオリンパスのCMを撮影することができました。またJAXA(宇宙航空研究開発機構)とも交渉し、日本人宇宙飛行士の若田さんがCMに登場してくれました。夜の打ち上げだったのですが、とても美しく感動しましたね。ソユーズで撮影した時の方が距離は近かったのですが、シャトルのほうが機体自体が大きい。さらに、シャトルはカウントダウンする大きな液晶やナレーションなどの演出があり、まるで大作映画を観ているようでした」

— 今回の打ち上げは、日程の関係で残念ながら見ることができませんでしたが。

「残念でしたが、土地勘も大分わかったので、必ずもう一度打ち上げを見に来たいと思います。日本のロケットは世界から見てもとても重要になってきています。シャトルが退役することにより、ISSに物資を運べるのは日本とロシア、欧州宇宙機関(ESA)だけです。近い将来、日本のロケットも人を運べるようになると思います。僕は今、本業である広告業をやりながら、宇宙旅行を販売する宇宙旅行代理業を立ち上げようとしています。実際に多くの人に宇宙に行ってもらうため、昔に比べると遥かに安い1〜2000万円で行けるようなプランを考えています」

— 宇宙に行くという話は壮大で、なかなかリアリティを持って感じる事はできないのですが、実際に種子島にきて、ロケットや打ち上げを間近でみると本当に近いうちに宇宙に行けるような気がしてきます。

「そうですね。ここへくると、宇宙旅行をリニアモーターカーくらいのリアルさで感じることができます。着実に一歩ずつ科学技術は進化をしています。宇宙に行くと人生への見方が変わると言います。多くの人が宇宙へ行き、その見方が変わることが楽しみですね」

— 宇宙旅行までいかなくとも、打ち上げを見るだけでも違いますよね。

「一度は見るべきだと思います。宇宙へ行く事の実感や、人類が到達した科学技術の集大成を見るという意味でも感動しますよ。宇宙やロケットは子どもにとってはもちろん、大人にとっても憧れであり、夢のあることだと思います。種子島は本当に美しい島なので、例えば打ち上げの夜にビーチにベッドを並べて星空ツアーをやったりと、色々なレクリエーションもできると思います。そうやって人が沢山来る事で、国民は宇宙開発のプロジェクトに予算を使いたいと思うはずです。僕自身もできることなら、日本でもテクノロジーとドリームを繋げるお手伝いをやりたいですね」


種子島宇宙センター

鹿児島県熊毛郡南種子町大字茎永字麻津
tel 0997-26-2111(代表)

www.jaxa.jp/about/centers/tnsc/

見学のお問い合わせ
宇宙科学技術館(施設案内ツアーは事前予約制)
tel 0997-26-9244
fax 0997-26-9245

飛行機
鹿児島空港から種子島空港[30分]
大阪空港から種子島空港[1時間30分]
種子島空港からタクシー[50分]

航路
フェリー:鹿児島から種子島「西之表港」[3時間30分]
ジェットフォイル:鹿児島「南埠頭」から種子島「西之表市」[1時間40分]
西之表港からバス[2時間]・タクシー[1時間15分]

other features

ページトップへ戻る

Follow us!