片山正通が語る、ライアン・ガンダーの魅力

- Dazaifu-city, Fukuoka

— ライアン・ガンダー作品との出会いは?

「TARO NASUの那須さんから、ライアンの『And who knows (Associative Photograph # 15)』という作品を紹介され、一目惚れしました。ほどなくしてエキシビション『GHOSTWRITER SUBTEXT(TOWARDS A SIGNIFICANTLY MORE PLAUSIBLE INTERROBANG)』(2007年)に伺い、初めてライアン本人に会いました。小難しそうな印象と同時に、人懐っこさが伝わってきて、まさに作品と同じような魅力がありました」

— なぜ、作品をコレクションしようと思ったのですか?

「ライアンの作品は、概念やコンセプトを辛うじて形にしているコンセプチュアルアートで、その表現方法も様々です。そんな作品に僕自身すごく刺激を受けています。だからこそ、ついつい欲しくなるというか、手元においておきたいと思うんですよ。気がついたら作品が増えてコレクションになっていたというのが正直な所です。特に思い入れのある作品は、“FLASHES OF BEAUTIFUL THINKING”と書いてあるネオンを割る事で完成する作品『The danger in visualising your own end』です。ライアンが来日した際、本人がオフィスまでに来てくれて割ってもらいました。そのプロセスや瞬間も、作品として記憶に残っています」

— 片山さんのオフィスでは、個々の作品に合わせて壁に穴をあけて展示されていますよね。

「ライアンが表現しようとしていることがわかりやすいように、適切な展示をしたいと思っています。例えば、ライアン自身が行ったインスタレーションの方法をそのままパッケージするように展示したり、表現がうまくフィットする場所を探すのに時間をかけたりしています」

— 太宰府天満宮での展覧会にも足を運ばれたそうですね。

「太宰府天満宮でエキシビションを行うと聞いたときは、すごく意外で、どのように作品をつくるのかも想像がつきませんでした。しかし、神道という目に見えないものに対して、日本人の関わり方を彼なりに表現し、その関係性を作品として取り込んでいた。まさにライアンが最も得意とするアプローチだったのではないかと思います。結果、今回の全ての事が彼の為に用意された事のようにさえ感じました。また今回のエキシビションは、権宮司・西高辻さんのライアンへの理解が高かったからこそ実現したと思います。彼とはライアンのコレクションを巡るライバルに近い関係(笑)ですが、今回は太宰府天満宮の懐の深さがあって、初めて実験的なことが可能になったと思いますし、歴史とコンセプトの面白いコントラストが生まれたと思います」

— 今後、ライアンとのコラボレーションすることはありますか?

「僕がデザインした空間に、ライアンの作品を展示するという普通の事は面白くないので、もっとレベルの高いコミッションワークを一緒に出来たらいいなと思います。とても大変だとは思いますが、その為のシチュエーションを探すのも作品の第一歩になるので、面白いものができると思います」

— 最後に、九州のお気に入りスポットを教えてください。

「今回、太宰府天満宮の皆さんに紹介して頂いて、初めて竃門神社に行きました。太宰府天満宮とはまた違う雰囲気で、良い気が流れているパワースポットのように感じました。太宰府まで行く様でしたら、是非足を伸ばしてみると良いと思います」

And who knows (Associative Photograph # 15) 2004
チラシや新聞、雑誌の切り抜きを配置して撮影した作品。ガンダーの中でも初期の作品であり、全18点のシリーズで構成されている。一見すると全く関係のないイメージだが、ガンダーの頭の中ではしりとりのように連想されて繋がっている。

The danger in visualising your own end 2010
「Flashes of beautiful thinking」という文字がネオン管で描かれ、なおかつ破壊された作品。美術作品において、ネオン管はしばしば用いられるアイテムであり、有名なネオン管の作品から文字を引用している。文字の意味だけで満足しないようにという揶揄が込められている。

TATE - Build a Fort, Set It on Fire - (Alchemy Box #8) 2009
TATE美術館で実際に使われている踏み台を使用した作品。中に入っているモノがキャプションに書かれているが、実際に確認することはできない。まるで、木の箱がガンダーの頭の中であり、アイデアが込められているように感じさせる。

So despite the way we announce our researches of the work,with the list of gestures that can be considered both as every day and folkloric ones,we shouldn't forget about the collective dimension of the cultural territory in whichthe piece takes place - ( in collaboration with Bedwyr Williams)2010
ガンダーの親しいアーティストBedwyr Williamsとのコラボレーションにより制作された。お互いを主人公にした架空の小説を作り、その1ページが展示されている。創作するとは何か、創作すること自体の楽しみをかんがえさせてくれる作品。

上左:Memorandum JB CH AG (Sister) - (Alchemy Box No. 10.2) 2008
上右:Memorandum JB CH AG (Brother) – (Alchemy Box No. 10.1) 2008
Alchemy Boxとは「錬金術の箱」という意味。箱の中には瓶のカケラや道具など、日常に使われているモノが書かれているが、本当に入っているかはわからない。また、同じ中身の箱が、サンフランシスコの校外の砂漠に埋められており、その埋められた場所の写真作品とセットになっている。そのモノが持つ「価値」は見る人の信じる力にかかっており、アートも同じであるというメッセージが込められている。

The Universe as I knew it at aged 5, collapsed and expanded several times 2008
「僕が5歳だったときに想像していた宇宙が、いくつかの爆発により崩れ落ちてしまった」という、小さい時のマンガやテレビ番組から連想したロマンチックなストーリー。ブラックホールのような黒い紙には、無数の穴が空いている。ガンダーの代表的な作品。


© Ryan Gander Courtesy of TARO NASU

片山 正通 masamichi katayama

かたやま・まさみち●1966年、岡山県生まれ。インテリアデザイナー/株式会社ワンダーウォール代表。2000年に自身のオフィス・ワンダーウォールを設立。クライアントのコンセプトを具現化する自由な発想、また伝統や様式に敬意を払いつつ現代的要素を取り入れるそのバランス感覚が、国際的に高く評価されている。主なプロジェクトは、BAPE STORE®/*A BATHING APE®各店、ユニクログローバル旗艦店(NY,パリ,ロンドン)、NIKE原宿、PASS THE BATON(丸の内,表参道)、ピエール・エルメ・パリ 青山など。3月29日には、ザ・リッツカールトン・香港の最上階レベル118階にOZONE(バー/ラウンジ)がオープン、4月1日には香港の大型セレクトショップ I.T HYSAN ONEがオープンした。また、国内初となる作品集「WONDERWALL ARCHIVES 01」(PARCO出版)が発売中。
www.wonder-wall.com



太宰府天満宮

福岡県太宰府市宰府4-7-1号
tel 092-922-8225[代表]

福岡空港からタクシーで約30分
西鉄 天神大牟田線二日市駅下車
西鉄 太宰府線へ乗り換え、太宰府駅下車、徒歩5分
九州縦貫自動車道・太宰府ICから車で約15分

www.dazaifutenmangu.or.jp

九州国立博物館

福岡県太宰府市石坂4-7-2
tel 092-918-2807[代表]

開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
観覧料:一般420円、大学生130円

www.kyuhaku.jp

"フクヘン" こと元BRUTUS副編集長、鈴木芳雄が案内する九州のアート ART in KYUSHU

第一回 霧島アートの森[前編]

第ニ回 熊本市現代美術館

第三回 霧島アートの森[後編]

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