本村製麺工場[自家栽培の小麦で作る島原素麺]

- Minamishimabara-city, Nagasaki

長崎県へは、熊本からフェリーで入った。雲仙島原は、長崎空港から向かうよりも、熊本  港からのほうがよほど近い。九州を旅していると、フェリーがとても身近になる。そしてこのフェリーが、冬の間は、かもめたちの絶好の餌場。かっぱえびせんを放ると、器用に空中でキャッチする。飽きずに遊んでいるうちに、あっというまに島原へ。
まずは、雲仙観光ホテルでランチタイム。昭和10年創業の風格のある建物が、スイスの山小屋を思わせるクラシックホテルだ。格調高いダイニングで、名物の野菜膳と煮込みハンバーグカレーを堪能。さあ、お腹も満腹になったところで、一路、島原へ。

400年に及ぶ、島原素麺の歴史を辿る

島原では現在400軒ほどの製麺所が素麺を作っている。島原の名物である素麺の歴史は、  江戸初期にまで遡る。素麺そのものは、奈良時代に中国の遣唐使が作り方をもたらしたと言われており、奈良の三輪で受け継がれてきた三輪素麺の技法が瀬戸内の小豆島へ伝わり、根付いた。それがさらに島原へ渡ったきっかけは、皮肉にも、キリシタンが蜂起した「島原の乱」だという。1683年、老若男女3万人が殺されて無人状態になった島原に、江戸幕府は各藩に移住者を命じた。その中にいた、小豆島の人々が製法を伝えたというのだ。歴史を説明してくれたのは、「本村製麺工場」の3代目、本村幸雄さん。真剣に耳を傾けていたトモさんが、「島原が素麺の名産地だってこと、知りりませんでした」と言えば、「実は、生産量では日本第2位なんです。ところが、その半量が三輪そうめんからの委託。これまで、島原という名前を出すということがなかった。だから、知名度がないのです。でもそれでは、せっかくの努力も品質の高さも伝わらない。島原素麺の素晴らしさを認知してもらいたいと、島原ブランドの確立に取り組みはじめています」と答えてくれた。

素麺作りへの熱い想いを聞きながら、畑をすみからすみまで、踏んで回った。
1月の時点では、まだ、わずかに芽が出た程度。
昨年5月に収穫した小麦。脱穀して冷暗所で貯蔵して、1年使用する。

地産地消の素麺作りに
取り組む

せっかく島原素麺として島原の名前を出すなら、地産地消を目指したいと、本村さんは、小麦を育てるところから始めた。もともと、島原が素麺の産地として栄えたのは、良質な小麦の産地だったからである。そこで、本来の島原素麺を復刻させたいと、5年前に1haの土地を借りて麦を植え始めたのだ。最初の年、本村さんは種まきから収穫まで、一人で挑戦した。11月にまいて、5月に200kgの小麦が収穫できたときには感無量だったとか。小麦は元来、農薬を必要としない。種をまく前に畑を消毒するのみ。だから、完全な無農薬、有機栽培。
冬の寒い時期に麦踏みをすると元気な麦が育つという。1月の寒風吹きすさぶなか、トモさんも本村さんと一緒に、畑を踏んで回った。2年目以降は、農家の方に手伝ってもらっているが、手塩にかけて育てている気持ちは変わらない。
ところで、従来の、製粉会社支給の小麦粉で作る素麺と、自家栽培の無農薬小麦で作る麺には、味の違いはあったのだろうか。「塩も地元の小浜産のもの。水は地下水ですから、正真正銘の地産地消。で、食べてみると、実際、驚くほどでした。かみしめるほどに、小麦の風味を感じます。そしてなんといっても香りがいいんです」と本村さん。 「色もちょっと違いますね。食べたてみたいですねえ」とお湯が沸かせないのが残念そうなトモさん。ゆでた素麺は東京までお預け。

素麺づくりの工程を拝見

工場内は、本村さんの説明を聞き取るのが大変なほど、いくつもの機械のモーターが、唸り声をあげている。どうやら素麺づくりの工程はすごく複雑なようだ。 一口に言えば、小麦粉、塩、水を混ぜ合わせてよく煉った生地をねかせて発酵させ、さまざまな機械を用いながら、縄のように太かった生地を、徐々に細く、引き伸ばしてくのである。最終的には、男の人の背丈以上に長くなったそうめんを温風で乾燥させる。
早朝2時に始まった麺づくりは、午後4時くらいに終了。一晩冷風で干し上げてようやく島原素麺が完成する。あとは断裁して結束。残った節の部分だけを集めた節麺。「これ、しこしこしておいしいんですよね」というトモさん、しっかりおみやげにいただいた。

1.小麦粉、塩、水を混ぜてよく煉った生地をねかせて熟成させる。ごま油と綿実油をつけながら、少しずつ生地を吸い上げて、太い縄のような状態に絞りだす。
2.細い管に替えて、ひとまわり細く絞り出す。
3.棒にかけて自重でのばす。
4.何段にもひっかけてのばす。
5.糸を紡ぐように巻き上げてのばしてく。
6.素麺を輪にして杭にかけ、その間を2本の棒でさばきながら延ばす。この過程は、伝統的な手法で、現在はこの部分も機械が担う。
7.のばした素麺をひっかけて吊るし、自重でのばしながら冷風乾燥させる。

さまざまな素麺の楽しみ方

長きにわたり、素麺が愛されてきた土地柄だけに、飾り素麺の伝統も受け継がれている。夏に乾燥させたものを加湿器でくにゃっとさせ、船の形や化粧回しに編みこんでいく。これも弾力のある手のべだからできることなのだそう。また、夏には、わんこそばならぬ、わんこ素麺大会もあるとか。
「名産地ならではの、とっておきの食べ方を教えてください」とトモさん。
「なめたけといかの細造りを和えてもいいですね。寒い時期には、ゆでて釜上げにし、醤油を加え混ぜた溶き卵にからめて食べるのもおいしいですよ」と本村さん。 「わあ、とろりとしたなめたけやいかが、素麺にからんでおいしそうですね」
ほかに、ゆでた素麺が余ったら油で揚げ、皿うどん風にと本村さんが言えば、「きゅうりかトマトをおろし金でおろして麺つゆの中に入れて食べるのもおいしいですよ」とトモさんも奥の手を披露。二人合わせて素麺のレシピが倍になった。

渾身のレシピに乞ご期待!

素麺「水晶の光」

 

海産工房 梅元 あじの干物

 

素麺「水晶の光」

 
↓   ↓  
   

素麺の冷や汁風

 

素麺サラダ

 

From Producer
本村 幸雄さん

「とにかく、島原素麺の名前を世に出したいですね。そのためには、まず地産地消。小麦から自家栽培している製麺所は、日本でも類を見ないはずです。このことに気づかせれくれたのは、実は、海産工房梅元の梅元さんです。そうした志の高い仲間と一緒に、長崎の食、ひいては日本の食への意識のレベルアップをはかっていきたいと思います。 素麺づくりに従事して15年、やっと面白さや奥深さがわかってきました。最近の目標は「食べて泣けてくるような素麺を作ること」です。毎日試行錯誤の繰り返し。人の心に訴えかける素麺が作れればと、日々、奮闘中です」

Profile
創業62年の本村製麺工場の3代目。“自ら育てた小麦で素麺を作る” 小さな取り組みを、島原半島に広げ、素麺の産地としての前進を目指す。また、島原素麺の美味しさを伝えるために、県内外への営業や広報活動にも熱心。

Tomo's Comment
「夏には欠かせない、お素麺。もちろん、それ以外の季節にも、ずいぶんお世話になっています。そんな素麺の隠れた歴史も知らなかったですし、素麺を作る工程があれだけ複雑ということもぜんぜん、知りませんでした。しかも、毎朝2時から作業しているなんて、エラすぎる。そのうえ、小麦の自家栽培までと、本村さんの志の高さに頭が下がります」

本村製麺工場

長崎県南島原市西有家町須川362-1

tel 0957-82-2145

fax 0957-82-1034
www.motomura-soumen.com


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  • 01 本村製麺工場

    自家栽培の小麦で作る島原素麺
  • 02 藤井からすみ店

    からすみの最高峰
  • 03 海産工房 梅元

    無添加干物
  • 03 九十九島 天然牡蠣

    [白浜の岩場で牡蠣漁]
  • 03 松翁軒

    カステラの老舗
  • 今月のレシピ
    本村製麺工場
    ●素麺の冷や汁風
    ●素麺サラダ
    藤井からすみ店
    ●風呂吹き大根のからすみ添え
    ●からすみのスパゲティ サルデニア風
    ●新じゃがのボッタルガマヨネーズサラダ
    ●鯛のカルパッチョ 生からすみソース
    海産工房 梅元
    ●太刀魚のきゅうりソース
    ●鯖の燻製のタルタルサンドイッチスモーク
    松翁軒
    ●五三焼のココナッツミルクアイス

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