海産工房 梅元[無添加干物]

- Nagasaki-city, Nagasaki

有明海と東シナ海に面する豊かな漁場を控え、古くから海産物の加工が盛んな長崎で、2代にわたって海産物加工業を営む「海産工房 梅元」。急逝した父のあとを継いで、切り盛りする梅元兄弟は、こよなく長崎を愛し、長崎全体の食のレベルアップをはかる、食のオピニオンリーダーでありたいと、自ら、無添加&本物志向の干物作りに励んでいる。
さっそく干物づくりの現場に案内してもらった。魚を洗う人、おろす人、網に並べる人と、忙しそうに、十数人のスタッフが立ち働いている。
「干物、大好き。母の実家が伊豆だったから、これでも、私、ちょっと干物にはうるさいんですよ。楽しみだなあ、いただくの」

無添加の干物を目指したわけ

海に囲まれ、魚に恵まれた日本では、海水で塩蔵して、海風で干し上げる干物は、古来、加工品の中でも最も身近なものであったはず。なのに、いつの頃からか、旨み調味料から保存料や着色料まで、添加物を加えるのがあたりまえになってしまった。
もともと、食の安全に関心のあった梅元さんは、「食の学校」に参加し、知識を深め、添加物のこわさを知るにつれ、なにがなんでも無添加の干物作りを目指そうと思うようになったのだという。
「これまでどこのメーカーでも当たり前のように使ってきた添加物を、まずは、一つずつ取り除くことから始めました」と梅元さん。それによって起こる、日もちが悪くなる、味がのらない、色が悪くなる、などという問題に、その都度、正面から取り組み、解決していった。
「実は、最後に残ったのが着色料。醤油とみりん本来の色だけで提供しようと、見た目をあきらめ、逆に醤油とみりんの素材にこだわりました」。

梅元式干物づくりの流れ

さっそく、干物づくりの工程を見せてもらう。ご存知の通り干物とは、内臓などを処理した魚を塩水に浸けてから干し上げたもの。梅元の干物には、そのシンプルな工程の中に、たくさんの秘密が隠されている。

写真 左上から
1・2.まずは、とれた魚を弱アルカリ水で洗ってぬめりとくさみをとり、開く。
3.開いた魚を弱酸性水で洗い、一般生菌類などの雑菌を死滅させる。
4.流れる電流のアンペア数で、弱酸性か弱アルカリ性かがわかる。
5.5つの天然塩を混ぜた塩水(ソミュール)に漬ける。この塩蔵の工程で、一切旨み調味料を用いていないのは画期的だ。ソミュールは正真正銘の塩水のみ。
6.塩水より引き上げて、網の上に並べ、冷風乾燥機で乾燥させる。
7.魚の種類と状態を見極め、一夜干し感覚で軽く干すのがおいしさのポイント。
8.乾燥のあと、-20℃で急速冷凍し、半日ねかせる。
9.えらなどをはさみで切り落として、
10.1枚ずつラップでくるみ、梱包。

おいしい干物のポイントは旬の脂と良水

干物は脂が命。旬の脂ののった時期のものでなければ、まったく意味がないものになってしまうのだという。大切なことは、原料となる魚は、旬の脂がのっている時期に採れた生もの、またはその時期に冷凍したものを使用するということ。鯵なら、5~6月が最も脂が乗っているので、その時期に一年分を捕獲して冷凍しておく。
「香ばしく焼けた皮の下から、ジュワっと脂がにじむ、あのおいしさ、たまらないですよね」とトモさんも頷く。
そして、もう一つのポイントは、アルカリ水、酸性水の使用。これこそが、試行錯誤のうえに梅元さんがたどりついた、保存料いらずのテクニックだ。敷地内で汲み上げた地下水を、弱アルカリ水と弱酸性水に分解して用いることで、何も加えない水なのに、抗菌力を発揮してくれるのだ。
「ソミュール(塩水)用の水にも、もちろん、汲み上げた地下水を使用しています。いい水があってはじめていいソミュールができ、おいしい干物となるのです」と梅元さん。

ソミュールには5種類の天然塩を合わせて使う。
調味料も無添加のものを使用。
みりん干しも、化学調味料などの添加物は一切不使用。でも、昔造りの調味料を使えば、 これだけおいしそうな飴色に仕上がる。

調味料も昔造りの本物志向

ソミュールの塩水に、5種の天然塩をブレンドしているのは、ミネラル分が増え、複雑さが増すから。また、いずれの塩も、お付き合いのある方たちに紹介してもらったものなので、「ご縁=五塩をいただいたお礼」の気持ちを込めて使っているのだという。
いわしやさばのみりん干しも人気商品だが、これも、一般的には添加物のかたまりの場合が多い。が、梅元さんはここでも無添加を貫いている。長崎を代表する醤油メーカーである「チョーコー醤油」の本醸造と、「養命酒製造」の家醸本みりんのみで、調味液を作っている。これも画期的な試みだ。「みりん干しのこのツヤッとした照り。干し上げている工程を見ているだけで、ごはんが進みそう(笑)」とトモさん。
そしてもう一つ、人気商品が鯖の燻製。こちらは、塩蔵したものに、桜やならなどをブレンドしたチップで軽く燻して香りをつけたもの。
「う~ん、鯖好きにはたまらない……」
このように、いずれの手法も、添加物に頼らない、本来の干物づくりを目指している姿勢は立派だ。

干物のイメージを覆すお洒落なパッケージは梅元さんのデザイン。
鯖の燻製 食指をそそるスモーク香が漂う。
えぼ鯛  品のいい白身。特製のかけぽん酢をかけてもいい。
シーグラスをモザイクのようにして作った看板。
ふっくらとおいしそうに焼けた、鯖の燻製。

毎週金曜日は社内試食会

梅元水産では毎週金曜日は、自分たちで作ったものを焼いて試食し、忌憚ない意見を言い合うのが恒例だという。スタッフ同士は家族のように仲がいい。「1枚ずつお客様や家族が食べている姿をイメージして作りましょうと話しているのですよ」と梅元さんは言う。
「それは、個々のニーズに応えた、キメ細やかな商品作りが目標だから。零細企業でできることは、それくらいしかないからと謙遜するが、時代は、むしろ、こうしたパーソナルなものを求めているのだ。
梅元さんの工房の外壁に飾られた看板は、海岸に流れ着いたシーグラスを、スタッフ皆でモザイクのようにはりこんで作った作品だ。
「さかなのマークが可愛いですね」とトモさん。そんなところにも海産工房 梅元らしさがあふれている。

渾身のレシピに乞ご期待!

太刀魚の干物

 

鯖の燻製

   
↓   ↓      
       

太刀魚のきゅうりソース

 

鯖の燻製のタルタル
サンドイッチスモーク

   

From Producer
梅元 建治さん

「食の安全が問われる昨今。添加物の問題は、取り組むべき最も大きな課題の一つでしょう。世の中を云々する前に、まずは自社製品からと、正面から対峙しましたが、時間もかかりました。でも、私たちの姿勢を見て、購入してくださるお客様も少しずつ増えてきていますし、また、やればできるとわかって、志を同じくする生産者もつながってきました。そんなふうに少しずつでも、世の中に発信していきたいと、日々取り組んでいます」

Profile
建設設計や地域活性化のプランナーとして、福岡で活動したのち、家業を継いだ弟をバックアップするために、長崎へ戻る。長崎出身のデザイナー岡本一宣さんと、親しく交流する中で、故郷を盛り上げるプロジェクトに力を注ぐ。同時に、食の学校で食の安全を学び、自社の製品づくりを見直すところから始め、長崎の食のレベルを引き上げることに熱心。

Tomo's Comment
「干物は大好きで、とってもヘルシーな食材、と思ってずっと食べていたのに、実は添加物だらけだったとは、ちょっとショックでした。でも、それを、敢えて昔ながらの、無添加の干物に戻そうと努力している梅元さんの志は素晴らしいですね。私もドレッシングなど、製品開発の仕事をしているので、添加物を除く難しさは、よくわかります。だからこそ、応援したいし、応援することで、無添加運動の輪が広げたいですね」

海産工房 梅元

長崎県長崎市茂木町1251-3

tel 095-836-1110

fax 095-836-3153
www.umeume.jp


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    海産工房 梅元
    ●太刀魚のきゅうりソース
    ●鯖の燻製のタルタルサンドイッチスモーク
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