ぐるり鹿児島 郷土の味めぐり

- Kagoshima

器は、食べるものを盛って、初めて、本来の個性や魅力が発揮される。
せっかくなら、地元の素材を盛りつけてみたい。そんなわけで、美味しいものや楽しいものを探しに、町へ出た。

市場を巡って、鶏飯に舌鼓

まずは、鹿児島中央卸売市場へ。瑞々しい野菜たちが、驚くほど安い値段で並んでいる。「東京の半額かしら。それでこんなに鮮度がいいなんて羨ましいな。住みたくなってしまう」と、長尾さん。さっそく、袋いっぱいに詰まったむきそらまめを買う。隣の果実の売り場は、夏みかん、三宝柑、ざぼん、黄みかんなど、東京ではお目にかかれない柑橘類も含めてバリエーション豊富。九州は柑橘類の宝庫だ。
市場のすぐ近くの乾物屋さんでは、毎朝届く手作りの「あくまき」を発見。あくまきとは、炊きたてのもち米を竹皮で巻いて、灰汁で煮た郷土菓子だ。砂糖をたっぷりかけて食べれば、なんとも素朴で心温まる。
さて、そうこうしているうちにお腹がすいてきた。朝も早かったので早やお昼に。市場には、奄美大島名物の鶏飯を食べさせる店があり、迷わずそちらへ。ごはんの上に蒸した鶏や錦糸玉子や山菜をのせ、あっさりとした鶏のだしをかけるシンプルご飯。のりをちぎってのせ、さらさらとかきこめば、いくらでも食べられそう。

上:ぎっしりと詰まったむきそら豆。春の香りを運んでくれる。 2段目:揚げたての薩摩揚げを「はい、おいしいよ!」と市場のおばさん。 3段目 左:毎朝個人の作り手から届く、昔ながらの手作りあくまき。 3段目 右:市場でお買い物。 4段目 左:トマト、ヤーコン、新じゃがなど、どれも美味しそう。 4段目 右:いち早く、小夏が出回るのも、南国鹿児島ならでは。

桜島は今日も噴火

今日は、桜島が何度も小さく噴火している。初めて見る噴火の煙は、強烈に鹿児島らしさを印象づけてくれる。地元の人に言わせれば、車も洗濯物も汚れて迷惑なだけ、だそうだが、“よそもの”にはどこかエキゾチックだ。桜島へ向かうフェリーの中で、ささっとうどんをすする、そんな非日常感も楽しさを増してくれる。島を一周しながら道の駅をいくつか覗いてみた。桜島こみかんは、季節が終わっていたけれど、地元の柑橘類がやはり豊富。溶岩を模した極彩色の菓子も愉快だ。

上:奄美大島名物の鶏飯。あっさり鶏スープがやみつきになりそう。 下左:鶏飯が出るまでの突き出しにと、気前よくコロッケ、手羽先揚げ、マカロニサラダを出してくれた。 下右:市場の奥の気取りのないテーブル席。

上:軽石に色をつけたようなた、楽しい砂糖菓子。 下左:船の上で食べるうどんもさっぱり味。 下右:絵に描いたように桜島の噴火の煙がたなびいている。

お菓子やかごをお買い物

市内に戻り、名物の「かるかん」や、よもぎ入りの餅であんを包み、サンキライの葉ではさんだ「かからん団子」、重曹でふくらませた黒糖味の「ふくれ菓子」など、懐かしい郷土菓子を買って回る。「素朴なお菓子ほど、人の心を和ませる力があるのはなぜ? そしてシンプルなものほど美しい、のも」と長尾さん。
最後に、明治4年から続く民芸品店「おうつぼ」を訪ねた。曲げわっぱの蒸し器や、鹿児島産の竹で編んだ端正なかごがぎっしりと積まれている。野点用の茶箱など、細工の細かい上等なものも多く、「鹿児島の竹細工を扱っているのは、もう、うちだけですよ」と、4代目主人は自慢する。お酒や調味料の瓶などを運ぶのにちょうどいい、縦長のかごに心惹かれた長尾さんは、さっそく購入。今日買った野菜やお菓子を詰めて、中原さんの事務所へと向かう。購入した器たちが、どんな表情を見せてくれるのか、楽しみだ。

おうつぼ

上:明治4年創業の民芸品店。地元産の竹細工が揃っている。
下左:おうつぼで見つけた縦形のかご。長尾さん、即決で購入。
下右:杉の曲げわっぱの蒸篭。蒸気の抜け加減が程良い。


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