1960年代〜80年代のファッション

- Contemporary Art Museum Kumamoto, Kumamoto

ポップカルチャー全盛期:1960年代

1960年代に入ると、ファッションの主導権は若い世代へ移行します。アンドレ・クレージュやピエール・カルダン、パコ・ラバンヌなど慣習にとらわれない実験的な作品を次々と発表しました。ロケットで人類が初めて宇宙に行ったりと、近未来的なデザインが注目を集めた時代。美術や映画などさまざまな分野で、硬質な新しい素材が登場します。また、ポップ・アートの旗手ウォーホルの作品がプリントされたドレスなど、当時のアートとファッションの繋がりも垣間みることができます。「パコ・ラバンヌのプラスチックと金具を組み合わせたドレスは、資料として写真で見たことはありましたが、実物を見たのは初めてです。これだけ細やかな作りをしている作品を、こんなに間近でみる機会はなかなかないですよね。また一度着たら使い捨てるというコンセプトのペーパー・ドレスも可愛い。エリザベステーラーが描かれたり、アンディ・ウォーホルのようなポップ・アートの影響がかなり見受けられます」

写真左:パコ・ラバンヌ、ドレス、レーベル:なし、1969年春夏 写真右:作者不明、ドレス、アメリカ、1968年

1960年代のキーワードのひとつである「ユニセックス」。ピエール・カルダンは男性服をモチーフに、前見頃にファスナーを配すことで性差を消しました。また、人間の身体性を強く意識した作品を作り続けたデザイナー、ルディ・ガーンライヒ。トップレスのビキニなど、身体そのものが最も美しい服になりえるという新しい時代意識を打ち出し、世界中にスキャンダルを巻き起こしました。

写真左:左からピエール・カルダン、パンツ、スーツ、レーベル:PIEREE CARDIN BOUTIQUE PARIS、1960年代/ピエール・カルダン、ベスト、ニッカボッカー、セーター、レーベル:(ベスト)PIEREE CARDIN BOUTIQUE PARIS、(セーター)LES TRICOTS DE PIERRE CARDIN PARIS、1966年/イヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ、サファリ・スーツ、レーベル:SAINT LAURENT rive gauche PARIS、1968年春夏
写真右:左からルディ・ガーンライヒ、水着、レーベル:RUDI GERNREICH DESIGN FOR HARMON KNITWEAR、1971年/ルディ・ガーンライヒ、水着、レーベル:RUDI GERNREICH DESIGN FOR HARMON KNITWEAR、1964年


女性の自立と解放:1970〜80年代

1970年代になると、かつて労働着や運動着あるいは下着として用いられていたニットウエアをお洒落な日常着にデザインしたソニア・リキエルが脚光を集めます。また1968年におこった「五月革命」から出現したヒッピーたちの間では、パリの東欧の民族服がモチーフとなった花柄のワンピースなどが流行しました。そのストリート・ファッションはパリやロンドンのモードへと消化されていきます。続いて登場するのが、1980年代のボディ・コンシャスなファッションの代表ゴルチエ。決して外に見せることのなかった下着を、活動的で開放的な現代女性の象徴としてデザインしました。「ゴルチエのビュスチエは、マドンナがライブで着ていましたよね。すごく象徴的でした。カール・ラガーフェルドがデザインしたクロエのドレスは、腕に絡まるホースがシャワーとなり、裾にはしずくが騙し絵のようにデザインされています。これはまさに身につけるアート。カールの遊び心が満載で楽しい作品です」

写真左:左からドロデビス(ジャクリーヌ・ヤコブソン)、ドレス、マフラー、ハイ・ソックス、レーベル:dorothée bis e. & J. Jacobson made in france、1975年秋冬(ドレス)、1975年頃(マフラー、ハイ・ソックス)/ソニア・リキエル、セーター、レーベル:SONIA RYKIEL、1971年頃/ソニア・リキエル、シャツ、ベスト、レーベル:SONIA RYKIEL(シャツ)、1972年(シャツ)、1974年(ベスト)/ビバ(バーバラ・フラニッキ)、ドレス、レーベル:BIBA、1971年/エマニュエル・カーン、ディフュージョン・トロイザ、リーバイス、スモック、ジーンズ、1971年春夏(スモック)
写真中:クロエ(カール・ラガーフェルド)、ドレス、スカート、レーベル:Chloé、1983年秋冬
写真右:ジャン=ポール・ゴルチエ、ビュスチエ、ドレス、レーベル:Jean Paul GAULTIER pour GIBO MADE IN ITALY、1987年春夏

1970年代後期、不況が続くロンドンで生まれたストリート・スタイル「パンク」ファッション。その若者たちの中心にいたのがヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンです。ブティック名「セディショナリーズ(反乱扇動者たち)」が語るように、若者たちはファッションや音楽をきかっけに体制に社会的異議申し立てを起こしました。「ティッツ(おっぱい)」モチーフのTシャツは、男性が着ることで性差の揺らぎを提示。履けば裸足にみえるようなシューズもデザインされました。「ヴィヴィアン・ウエストウッドの靴は、今見ても素晴らしい。ファッションが社会的な影響力を持ち、ヴィヴィアン自身が時代を牽引していました」

写真左上:左からティエリー・ミュグレー、ジャケット、レーベル:Thierry Mugler PARIS、1988年秋冬/ティエリー・ミュグレー、ジャケット、レーベル:Thierry Mugler PARIS、1990年春夏/ティエリー・ミュグレー、ジャケット、レーベル:Thierry Mugler PARIS、1980年代末
写真右:セディショナリーズ(ヴィヴィアン・ウエストウッド)、シャツ、レーベル:SEDS 430 King’s Rd., Chelsea tel:351 0764、1977年頃
写真左下:ヴィヴィアン・ウエストウッド、ミュール、レーベル:Vivienne Westwood、MADE IN ENGLAND、2000年春夏


コルセット

胸から腰まで一続きになった女性用下着「コルセット」。19世紀には細いウエストへの憧れから、鉄の鳩目を用いたウエストを締め上げる技術が発達し、さまざまなコルセットが発表されました。しかし、第一次世界大戦後に新しいファッションやシルエットが登場し、コルセットは完全にファッションの舞台から忘れさられました。1990年代になると、「身体を再構築する」というコンセプトの元、フセイン・チャラヤンによる医療器具のような木製のコルセットや、『2001年宇宙の旅』で知られる映画監督、スタンリー・キューブリックにオマージュを捧げたアレキサンダーマックィーンのコルセットなどが発表されました。「映画『風とともに去りぬ』に登場した、コルセットをギューっと締め上げるシーンをよく覚えています。チャラヤンは紐でなくネジですが、コルセットの後側の紐まで細かく見られるように展示されています。美しさを追求する女性のストイックさを感じますね」

写真下左:コルセット、フランス、レーベル:I.C.LA PERSEPHONE、1890年代
写真下右:コルセット、アメリカ?、1870年代頃


「ファッション―時代を着る」展

会場:熊本市現代美術館 企画展示室Ⅰ・Ⅱ
熊本県熊本市上通町2番3号
tel 096-278-7500

会期:2010年6月25日(土)~2011年
   9月4日(日)

開館時間:10:00~20:00(入館は19:30まで)

休館日:火曜日(祝日は開館し翌日休館)
    年末年始(12/29〜1/3)

入館料:一般1000円、高・大学生500円、
小・中学生300円、熊本市・福岡市・鹿児島市内
小・中学生は無料

www.camk.or.jp


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