沖縄・読谷で学んだ「本谷 ちひろ窯」を訪ねる

- Arao-city, Kumamoto

上:ちひろ窯の象徴の一つ、唐草紋様の小鉢。 下左:のびやかなフォルムが美しい花器いろいろ。 下右:同じ釉薬を用いながら、粉引きの風合いに焼き上げる、オリジナルの手法。

「本谷 ちひろ窯」の魅力に触れる

次に訪れた「本谷ちひろ窯」の前野智博さんは、実は、瑞穂窯の出身だ。陶芸を志し、瑞穂窯の初代である、福田るいさんの父親のもとに弟子入りして、陶芸を基礎から学び、その後、沖縄の読谷に渡り、さらに修業を積んだ。「るいさんのお父さんは、ものごしは柔らかいけれども芯の強い方。民芸運動にとても熱心な方だった。私自身は陶芸を志したのが遅かったけれど、いいものを見させてもらったと感謝しています。ただ、陶芸を生業にするからには、登り窯で焼いてみたいという思いが強く、同時に焼き物をする上で基礎となる技法の多い読谷は、勉強するにはもってこいの場だと思ったのです」と読谷を目指した理由を語ってくれた。

「それが玉元さんの読谷山窯だったのですね。私が初めてべにやで買った器も玉元さんの器でした。玉元さんは、昔ながらの唐草を作り続けている。それで前野さんの器にも、沖縄の読谷山焼の風合いを残す唐草の紋様が多く見られるのですね」と長尾さんが頷く。2年間の修業後、熊本に戻り、4年後にこの土地を購入し、レンガを組んで手作りの窯をこしらえ、9年になる。そんなカラフルな「本谷ちひろ窯」のショップには、ぐるりと見渡すだけでも楽しい。

上左:屋外に設えた薪窯。 上右:陶製のテーブルの上に器を持ち出して、ちょっと一息のティータイム。 下左:素焼きを終えた箸置きがずらりと並ぶ。このあと、絵付けして釉薬をかけて本焼き。 下右:熱心な仕事ぶりが伺える作業場。

手作りの窯と工房を拝見

ショップに隣接した工房には、製作途中の素焼きの状態の器が並んでいる。奥にはガス窯、庭には煉瓦を組んだ手作りの窯が威風堂々と構える。積み上げられた薪も、近隣の間伐材を利用したもの。薪割りも大切な仕事だ。「小さめのものを焼くときはガス窯で、大量に、また大きなものを焼くときには外の薪窯を使います」と、窯の使い分けを説明してくれた。

上:愛犬のサラもどこか、のんびり。 下左:庭のところどころに作品が飾られている。 下右:ぐるりと張り巡らされた垣根の外にも雄大な自然が広がる。

のんびり南国の風情を慈しむ

庭の境界をぐるりと手作りの柵が囲んだ景色が外国のようだ。「ここに越してきたときに、一番にしたのがこの柵作りでした。子供が小さかったので心配で」と、愛犬をなぜながら前野さんは言う。

さあどうぞと、奥様が芝生の広がる庭の真ん中にしつらえられた陶製のテーブルの上にコーヒーを用意してくれた。長尾さんも、途中のドライブインで買った、地元の素朴なお菓子を、ちひろ窯の器に盛り付け、沖縄の空気に通じる開放感に満ちた空の下でお茶を飲む。愛犬までもが、どこかのんびりしているようだ。「従来の小代焼というと、重厚なものが多く、なかなか手が出にくいものが多かった。だから、なるべく、現代の暮らしに合うものを、心がけています。卓上で、毎日の料理を盛ったときに映えるということを一番に考えて」と前野さん。

例えば、最近始めたという、粉引きに近いオリジナルは、土も釉薬も同じで、釉薬の濃度だけを増してかけ、焼成するのだという。土味が柔らかく、とても風合いがいい。「わあ、いいですね、この酒盃。棚の中で、光っていましたが、手にとると、すっとなじみます」と長尾さん。「伝統に甘んじることなく、古いもの、新しいものを織り交ぜながら、自分の目指す小代焼に一歩ずつ近づいていきたい」と、熱く語ってくれた。

手前は白小代にしのぎや印花をあしらった平皿。奥は釉薬の流れが美しい平皿。

盛りつけ後を見る

本谷 ちひろ窯

熊本県荒尾市川登2131-74

tel & fax  0968-68-6459

www.chihrogama.com


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