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料理家・栗原 友が訪ねる、九州こだわりの美食材 explore & cook vol.6 福岡県[探訪編] >

博多の台所・柳橋連合市場「天龍」で旬の魚を楽しむ

博多の台所・柳橋連合市場「天龍」で旬の魚を楽しむ

- Fukuoka-city, Fukuoka

翌朝は、念願の市場巡り。博多といえば、魚が美味しいのはよく知られるところだが、それは、柳橋連合市場の魚の質の高さによるところが大きい。なにしろ、博多の名寿司店の主人たちが、こぞって極上の寿司ねたを買いに来るのだから。いや、博多どころか、東京の寿司屋の主人も、柳橋から魚を取り寄せていることを自慢する。けれど、そんな前置きを聞いて、築地のような規模を想像したら、大間違い。30数軒の店が仲良く軒を並べる、庶民の台所といった風情なのだから嬉しくなる。

海鮮丼を頬張って、「う~ん、幸せ」。手前には、からりと揚がったふぐの唐揚げもたっぷり。
柳橋食堂の店頭。店頭には持ち帰りの商品、壁には、メニューが並ぶ。
鮮度抜群の刺身がたっぷりのった、豪華な海鮮丼。市場ならではの贅沢。
練り物や、揚げ物などを売るお惣菜屋さん。とんこつの唐揚げが博多らしい。
お腹一杯なのに、思わず一つ。「アチチ、とろける~」
気さくで庶民的な風情が嬉しい、市場の内観。

市場で朝ごはん

とにもかくにも腹ごしらえと、まずは、市場で朝ごはん。食事ができる店は、市場で一軒きりの「柳橋食堂」(tel 092-761-1811)。店頭には刺身や寿司から惣菜までが並び、1階はカウンター、2階がテーブル席という構造だ。壁に貼ってある多彩なメニューを前に悩むこと3分、トモさんは海鮮丼に決定。生の魚がこれでもかと、ぎっしり並んで、え、650円? とは、嬉しい驚き。でも、どうしても、ふぐの唐揚げへの未練が断ちきれず、サイドメニューにと欲張ったから、さあ、大変。「幸せ~、でもお腹苦しい~」。

天龍の店頭。常時50~80種の魚介が並ぶ。今日は、しけでこれでも少ないほほうだとか。
いい魚の見分け方を丁寧に説明する、井上さん。
500gはある大きな鮑。「夏場はもっと身が太ってきますよ」と井上さん。
こはだ。東京の寿司屋にも、天草などのこはだがたくさん送られている。
これからは気軽に電話注文しますね。
「このくらいの大きさの天然ものがベストですよ、ふぐは」と井上さん。
「ふぐ、はまぐり、あおさ……早く料理したいな~!」

天龍で天然ふぐを購入

柳橋連合市場の魚の魅力は、まず一つが、魚の種類の豊富さにある。それは、玄界灘で揚がって、長浜の中央市場で競りにかけられる魚と、九州全域で水揚げされたものの両方が集まるから。そしてもう一つが、下処理の技術が優れていることによる身質のよさ。活け締めし、瞬時に神経を抜くことで、魚のもちがぜんぜん違うのだという。それどころか、熟成させることでさらに状態がよくなりもするのだという。プロの料理人や職人が柳橋を目指す所以だ。
さて、今回は、昨年の寿司特集で、「安吉」さんや「鮨 よし田」さんが通う、「天龍」を訪ねた。市場の西入口近くに店を構えるこちらには、見るからに鮮度抜群の魚が並び、トモさんのテンションも急上昇。
若き社長の井上清英さんに、まずはお薦めの魚を聞いてみる。「鍋大好きなんです。今の時期、美味しい鍋にするなら何がいいでしょう?」というトモさんに、「やっぱりふぐでしょう」と、ぷーっとふくらんだ、天然のとらふぐを持って見せてくれる。うわ、垂涎……。早速、薄造りにした身と、あら身に分けて、送ってもらう算段を開始した。
それにしても素晴らしいのは、その日の朝に獲れた魚が、航空便で午後一には届くという輸送システムの進歩だ。地元九州で食べるのと、ほとんど遜色ない状態で届くのだから驚く。しかも、内臓を出したり、三枚におろしたり、さくどりしたりと、希望に応じての処理をほどこしてもらえるから、届いたあとの使い勝手も抜群。「天龍さんとヤマトの航空便に拍手!」とトモさんも感心しきりだ(但し、航空便は、要相談)。
さらに、鮑、のどぐろ、鯛、くえ……、美味しそうな魚を次々見せられ、「う~ん、のどぐろもお願いします。1尾丸ごと、たっぷりハーブをふって焼いたら最高ですね!」と、メニューの候補も早速、決まった。

隣の八百屋の「田中野菜店」のおばさんともすっかり仲良くなって、携帯番号を交換。
田芹、つくし、トマト、白アスパラガス、蕾菜、すだち…春の香りの野菜たち。
もう一方のお隣のワイン屋さん「フクオカワインクラブ」のおじさんとも意気投合。南仏の赤を試飲。
え、これでそのお値段。買い!ですね、と、即決。

お隣の八百屋さん、ワイン屋さんで市場グルメ

ふと気づけば、トモさん、隣の八百屋のおばさんともすっかり仲良くなっている。田芹に  菜花、そして、ふぐには欠かせない、細い細い、鴨頭ネギ、これが、東京ではなかなか買えないのだが、最後の一束なのを目ざとく見つけて購入。ふぐの箱に野菜も詰めて送ってもらう、商談も成立!! 「明日のふぐ鍋はこれで万全」と、にんまり。
左隣には、なんだか洒落たワイン屋さんもある。「こんにちは~!」と中へ入る。まだオープンして1年、趣味のワイン好きが高じて始めたお店だとか。本来、ボトル売りだけで試飲はないのだけれど、ワイン屋のご主人とも意気投合し、南フランスの赤を開けてもらって、朝から「乾杯~!」。最高の市場巡りとなった。

 

渾身のレシピに乞ご期待!

のどぐろ

 

ふぐあら身

 

鯛の頭

 
↓   ↓   ↓  
     

のどぐろの香草焼き

 

ふぐ鍋とふぐ皮の雑炊

 

鯛かまの煮付け

 

From Producer
井上 清英さん

「九州の魚のクオリティの高さを、肌で感じてもらえる場所、それが、柳橋連合市場だと思っています。漁師さんや仲買いの方たちと、密に連絡をとって、最上の魚を仕入れることはもちろん、それらを最大限に生かすための処理に、ものすごく神経を使っています。最近では、そのことを、東京の料理人さんたちが理解してくれるようになって、すごく嬉しいです。割烹やお寿司屋さんから、またそのお客さんたちへと、口コミで輪が広がっています」

Profile
福岡出身の、3代目。魚屋になるのがいやで、生命保険会社に就職したが、やはり蛙の子は蛙。28歳で天龍に入社。市場内の魚力にで29歳から3年ほど修業し、天龍継ぐ。「魚のことはいつも、お客様に教えてもらっている」と、謙虚で勉強熱心。

Tomo's Comment
「柳橋連合市場が素晴らしいなと思うのは、福岡市民の台所でありながら、一流のプロたちがこぞって買いにくる場所であるということ。それって、つまり、一般庶民が、極上の寿司ねたとなる魚を毎日のおかずに買えるってことでしょう。東京ではまず無理な話ですから。いいなあ、羨ましい。それだけでも、博多に住みたくなっちゃう。もちろん、宅急便で頼めるのは嬉しい限りですが、一度、こうやって、顔を見てお話をすると、そのあとお願いするのがとってもスムーズです。皆さん、ぜひ、足を運んでくださ~い」

天龍

福岡市中央区春吉1-6-3 柳橋連合市場内

tel 092-741-8256
fax 092-741-0575


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