宮島達男「その人と思想」展 展示作品1

- Fukuoka-city, Fukuoka

1980年代から発光ダイオード(LED)を用いたデジタル・カウンターの作品を制作している宮島達男さん。88年のヴェネチア・ビエンナーレで国際的な注目を浴びて以降、世界的な規模で精力的に活動しています。今回、鈴木芳雄さんとともに、福岡の繁華街にあるアートギャラリー「三菱地所アルティアム」で開催されている《宮島達男「その人と思想」展》を訪れました。学生時代に行われたパフォーマンスの記録写真や初期のオブジェを中心に、LEDを用いたインスタレーションを展示。宮島さんが今日まで辿ってきた創作の過程と思想の変遷を検証する展覧会です。
《Project 102》1980-1981年
東京藝術大学入学後、初の大学祭でのイベントとして企画した作品。音校(音楽学部校舎)と美校(美術学部校舎)の乖離を埋めるため、ピンク色のロープで両方の校舎を繋いた。

「震災があってからよく聞かれるようになった "つなぐ・つながり"ということを、宮島さんはすでに東京藝術大学に入った一番最初の作品《プロジェクト102》で手がけていたんですよね。作品自体はクリストの影響を感じますが、イヴ・クラインのオマージュ作品であったり、美術を志した当初から"現代美術をやるんだ"という強い意志を感じました。当時は今ほど海外の現代美術の情報が少なかったはずなので、きっとものすごくリサーチを重ねていたのだと思います。現在の宮島さんの作風をみると、体を張ったパフォーマンスは想像つきません。とはいえ、リチャード・セラやアニッシュ・カプーアにしてみても、パフォーマンス的な色合いが強いものがある。宮島さんの場合、初期衝動ともいうべき"何かやらなければ!"という思いが体から溢れ出ていたのでしょう。また、初期の作品をここまで精密に記録していることも驚きです。記録・痕跡というものに執着があるようにも思えますね。さらに当時は半導体などデジタル・ガジェットをモチーフにしていたアーティストも多かったのですが、宮島さんはコンセプトをきっちりと練り上げた。そこが他のアーティストとは異なり、海外でも評価されたのだと思います。写真だけでなく実物が展示されている《Sea of Time》は、やはり美しいですよね。暗闇の中に浮かび上がる光は波がざわめいているようにも見えますし、心臓の鼓動にも感じます。生き物のメタファーであったり、曼荼羅だったり…… 見る人によってさまざまな解釈が出来る。霧島アートの森にある《Changing Time with Changing Self No.25 –W》や熊本市現代美術館の《Opposite Vertical on Pillar,133651 series》など、九州には宮島さんの作品が常設で見られたり、コレクションしている美術館があります。この展覧会を見て、さらにその作品たちを見返すとより深く作品を理解することが出来るはずです」

《形態採集(イヴ・クラインの模写)》1980年
イヴ・クラインへのオマージュ作品として制作。モデルを雇い、サラダオイルに顔料を混ぜた絵の具で人体拓本を採集した。
《NA. AR.(rain)》1981年
大学の屋上で実施された「rain」プロジェクト。雨が降り始めた地面にうつ伏せで横たわり、濡れた地面に乾いた人型を作る。その後起き上がり、同じように人型にも雨が降り注ぐ様を記録した作品。
《NA. AR.(line)》1984年
大学院生の時に参加した展覧会での展示風景。世界中の情報が流れるブラウン管テレビに囲まれ、わら半紙にひたすら線を描けるまで描き続けるというパフォーマンス。
《30万年の時計》1987年
「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」という宮島さんの3つのコンセプトのうち、「それは永遠に続く」を表現した作品であり、最初にデジタルガジェットを用いた記念碑的作品。
《Sea of Time》1988年
原美術館での展示風景

ベネチア・ビエンナーレの若手作家部門「アペルト88」に出品した作品。本作で国際的評価を得たことで、世界的なデビューを果たした。
《Sea of Time》1988年に使用されたガジェット(TIME A-1)のサンプル

三菱地所アルティアム

福岡県福岡市中央区天神1-7-11 イムズ8F
tel 092-733-2050

最寄り駅:西鉄福岡天神駅より徒歩2分/地下鉄天神駅より徒歩3分
イムズから:8階エスカレーターを降りてすぐ左手、またはエレベーターを降りて右すぐ
開館時間:10:00〜20:00

artium.jp
 

"フクヘン" こと元BRUTUS副編集長、鈴木芳雄が案内する九州のアート ART in KYUSHU

第一回 霧島アートの森[前編]

第ニ回 熊本市現代美術館

第三回 霧島アートの森[後編]

第四回 太宰府天満宮アートプログラム・九州国立博物館

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