日常の白磁を究める一真陶苑

Higashisonogi-gun, Nagasaki

変幻自在の白磁で魅せる

波佐見が誇る白磁の器の魅力を追求しながら、現代の生活を豊かにする器作りに熱心に取り組んでいるのが、「一真陶苑」だ。窯主の真崎善太さんは生地屋の出身。家業としては、1955年に一度廃業し、1978年4月に、自身の窯を開いた。
工房の2階にあるショウルームには、所狭しと、作品が並べられている。代表作ともいえるのが、古典的なしのぎの技法を自在に変化させて創りだしたモダンな意匠のカップのシリーズだ。縦、横、斜め、市松……しのぎのアレンジは24パターンもあるという。生地屋出身というだけあって、使い勝手のいいフォルムの美しさは、天下一品。ふっくらと丸みをおびて手になじみ、何を盛っても映える。用途を限定しない、一器多様な使い勝手の良さも人気の理由だ。
「10年前からしのぎを始めました。中国から安いものが入ってきて、値段ではとても、太刀打ちできない。ほかにはない自分の個性を出さねばと、行き着いたものです。東京ドームシティのテーブルウェア フェスティバルでも、"シンプルな個性" というテーマで打ち出したこのシリーズは、大成功でした。中国のものとは違うということが、立証できました」と真崎さんは嬉しそうだ。
「見飽きない新鮮さ、手にとったときの自然な凹凸のなじみ具合。その両方のほどよさが魅力なのですね」と、長尾さんも賛同する。

上:しのぎの魔術師である真崎善太さんが、かんなで、生地を削りだしていくさま。
中上:瞬時に等間隔のキリッとしたラインが引かれていく。しのぎの幅や深さによって、使う道具が決まってくる。
中下:見事に薄手な白磁だから、電球にかざすと透けて見える。
下:使い勝手のいい、白磁の平皿や浅鉢のシリーズ。
 

科学の力と先人の知恵

真崎さんは、ほかにも、日常で器を使う際のさまざまな観点から利便性を追求して、製品に生かしている。たとえば、半磁器。土ものの温かみを持ちながらも、軽く丈夫で、食洗機にも、心おきなくかけられる。また、生地が薄いため、スタッキングしても場所をとらないと、現代の生活にぴったりだ。
さらに一歩進んで、研究の成果が表れているのが、ナノ分子。鉱物をパウダーにしたものを釉薬に混ぜ込むことで、汚れの落ち具合がぜんぜん違うのだという。科学的目線を持った器づくりも、真崎さんの得意とするところだ。
「声高に機能を謳いたいわけではないんです。でも、使ったお客さんが、なぜか汚れがよく落ちると気づいてくれると嬉しくてね。作り手の自己満足なのかもしれないけれど」と、顔をほころばせる。
同時に、先人の知恵には敬意を払い、三股青磁、くらわんか茶碗といった、波佐見の原点に常に身近に触れながら、その中から学ぼうという姿勢を忘れない。波佐見の技術の高さを支えているのは、こうした、研究熱心な職人なのだろう。

上:研究の成果を熱く語る真崎さん。
右上:素焼き後、サンドペーパーで表面をなめらかにする。
右下:整然と並んだ工房。
 
人気のしのぎのバリエーションのフリーカップ。

盛りつけ後を見る

 
一真陶苑

長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷670

tel 0956-85-5305
fax 0956-85-7956


ページトップへ戻る

Follow us!