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長尾智子が訪ねる 九州の器 温故知新 第三回 波佐見焼[長崎] >

波佐見ならではの魅力を模索する光春窯

波佐見ならではの魅力を模索する光春窯

Higashisonogi-gun, Nagasaki

東京のショップとのコラボレーション

木肌を生かして中庭を囲むように建てられた自宅兼陶房は、洗練されていながら気持ちが癒される、心地のいい空間だ。その中心に構えるショウルームの壁にそって、多様な作品が並べられている。変幻自在の作風は、クライアントの要求にいかようにでも応えられる技術の高さと、10人からなる大所帯の、スタッフそれぞれの個性を尊重しての結果だ。
馬場春穂さんの率いる「光春窯」は、オーガナイザーの堀江さんとともにTIME & STYLE やBALSといった、東京でも先端を行くショップのオリジナルの器をたくさん作ってきた。
「TIME & STYLEのシャープなスクエアの白磁は、光春窯さんのものだったんですね。大好きでした。あの薄さと凛としたフォルムはなかなかないですね」と長尾さんも言う。
“売りたいものと作りたいものを上手に結びつける”、まさに、堀江さんの本領発揮ともいえる作品だ。もちろんそれは、「光春窯」の確かな技術に惚れ込んだ結果にほかならない。

上:中庭をぐるりと囲む形で展示スペースが広がる、光春窯・馬場さんの自宅兼陶房工房。
中上:素焼き終了後、本焼き待つばかりの、さまざまなフォルムの磁器が並ぶ。
中下:シャープなフォルムの薄手の白磁。
下:染付コバルト(呉須)と鉄絵(錆絵の具)の違いを利用した雰囲気のある絵付け。
 

波佐見の可能性を見据える

「堀江さんは、40年、50年続いた波佐見のスタンスを変えてくれました」と、馬場さんも堀江さんの発信力を高く評価している。「作り手の顔も買い手の顔もわかっていて、生地屋、上絵屋とも通じているという点が、従来の商社のスタンスとは違い、そのやり方を見て育ってきた若い人が、また、波佐見の可能性を広げてくれるかもしれない」と馬場さんは言う。
驚いたことに、波佐見の窯元には、3代続いたところがないのだそうだ。けれど、波佐見全体としては窯の火を絶やしていない。
「親父の窯元が倒産し、その後生地業を営んだのですが、破産してくれたおかげで制約がなくなり、自由にものづくりができるようになりました。それはよいことだったのだと、今になれば思います」とも。古い因習にとらわれることなく、常に新しいことにチャレンジできるというよさと、雑草のような逞しさ。その両方が、今の波佐見の魅力であり、強さになっているのではないだろうか。

上:長年の盟友である馬場春穂さん(左)と、堀江正明さん(右)。波佐見の今後を話し合う。
右上:さまざまなフォルムの器が並ぶのも、光春窯の特徴。素焼きした状態。
右下:焼成はすべて、安定した焼き上がりガス窯で。
 

歴史を振り返り、今に生かす

ショウルームには、波佐見の代名詞でもある白磁や染付のほかに、明代の赤絵を模した小鉢なども置かれ、存在感を放っている。聞けば、馬場さん自身は京都で修業を積んだのだそうだ。赤絵の技法はそのときに身につけたもの。朱蒔絵など、中国の古い器に作品のモチーフを求めることも多い。また、今後は、波佐見の遺した歴史の中から優れた名品を掘り起こして、蘇らせることも考えているという。例えば、その一つが三股青磁の復元だ。
「波佐見の若い人たちには、これがプロの職人の仕事よ、という技能を残していきたいですね」と静かに決意を語る。

上:中国明代の赤絵をモチーフにした角小鉢。
下:青銅色のマットな釉薬と蓮の花のモチーフがエキゾチックな器。
 
松の図柄をあしらったミニお重。そのまま食卓に出せるので便利。

盛りつけ後を見る

 
光春窯

長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷627

tel 0956-85-4550
fax 0956-85-7272


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