客室「相」のリビングルームと中庭に造られたプライベート・デッキ。

山荘無量塔

- Yufu-city, Oita

日本旅館「山荘 無量塔」の贅

古民家を飾るモダニズム

1992年7月に創業した「山荘 無量塔」は、今年、20年周年を祝った。当初は6部屋のみで始めたという宿だったというが、2004年には12部屋となり今に至っている。山の中腹に位置する現在の敷地はもともと杉山だったというが、整地され、創業時に植え込んだという木々がみごとに成長し、20年という時の流れを感じさせてくれる。豊かで瑞々しい緑に包まれた3500坪の敷地に点在する客室は、すべて離れの造り。滞在客は、それぞれに庭や木々を眺めながら穏やかな時を過ごすこととなる。
客室はゆったりとスペースがとられ、シンプルな中に素材の高級感が漂う。写真の客室「相」は、1階と2階に分かれたロフトタイプ。今まで由布院の旅館にはなかったというリビングが造られ、まるで贅沢な1軒家にいるかのようだ。

上左:広い玄関。障子を開けるとフローリングの15帖洋室リビング。
上右:浴室。内風呂も温泉。その奥にはデッキが用意されている。
中:2階の洋室。鳥の声で目が覚める静かな寝室でぐっすりと睡眠。
下左:リビングに続く10帖の和室。庭の眺めが素晴らしい。
下右:リビングの奥にある水場(キチネット)の窓。庭のデッキにはテーブルと椅子が置かれ、夏の好天の日など、外のデッキでのお茶も快適。
上:2月の「向付け」。上の皿中央には竹紙昆布で巻かれた絶品の寒ビラメ、右端にはハマグリの酢味噌和え、左端は金糸紅芯。下の皿、右から梅の花をかたどった人参、芽キャベツのもろみ漬け、水仙をかたどった大根、関サバ、左端が白と黒の胡麻でまぶした冠地鶏。皿の端に置かれているのは“名残雪”(氷餅の乾燥粉)という早春の旬の品々。
中:「変わり鉢」。この日はとろけそうな国産牛肉を中心に、あさつき、モロッコ豆、素揚げして胡椒をからめたインカの目覚め。通年これだけは変わらないという牛肉は、五葷(ごくん)と呼ぶニラ、ニンニク、ショウガ、長ネギ、エシャロット、モロミ味噌に3時間漬け込み、それを炭で焼いた香ばしさ際立つ肉料理。
下:「具足鍋」。タラバガニとネギ、厚揚げ、椎茸入りの味噌仕立て鍋。
 

由布院の四季を食す「創作山里料理」

食材の豊富な九州地方。吟味された素材のみで調理される食事は、山里料理とは思えぬ斬新な創作料理となって供されテーブルを飾っている。四季の旬を味わえる食事は、宿に滞在する大きな楽しみである。ひとつひとつの料理に、料理長木村淳二氏の技と心意気、すべてに手を抜かない「山荘 無量塔」の心遣いが見えてくる。
この日、月替わリのメニューとしてずらり並んだのは、懐かしさと懐石料理の洗練が感じられた早春の逸品だった。一皿ごとに器の楽しみも加わり、寒い時期に旬を迎える寒ビラメを始め、タラバガニ、関サバなど身の締まった絶品の新鮮魚貝に目を輝かせた。また一方で、甘みの増した瑞々しい大根やジャガイモなどの根菜類の調理法も新鮮だった。料理長曰く、「1年を通して変わらないのが、3時間漬け込んで炭焼きした牛肉です」と。美食家を唸らす料理は、美しさはもとより、こうしたバランスの良い食材をもとに創られていたのだ。

 

伝統とデザインの饗宴

「山荘 無量塔」の存在を象徴するように常に注目を浴びているのが、個性的なインテリアで人気の「タンズバー」である。カーネギーホールにあるものと同じ品という赤い巨大スピーカーは、1930年代のレアもので、明治中期の古民家を移築して再生したという空間にぴたりとはまっている。時代は違えど、同じくモダンな現代西洋の椅子、テーブル、調度品は、カッシーナ、コルビジェなどのスタリッシュな高級家具だ。それぞれが古民家の重厚さとあいまって、むしろ日本の伝統家屋独特の梁の出た天井や壁と美しいコラボレーションとなっている。
「タンズバー」では、朝9時から夕方6時までのティータイムにはクラシック音楽が、また夜のバータイムにはジャズが流れる。宿のそこここに見られる折り目正しさ、機転の利くサービスなど、ひとつひとつが居心地の良さにつながっている。

上:「タンズバー」内。左に見えるのはバーカウンター。天井の高い落ちつきのある空間。重厚感のある伝統家屋の魅力とモダニズムがうまく融合されている。
中左:慎ましやかで優しい灯りが、古民家のデザインにぴったり。
中右:生けてある花にもモダンな薫り。
下:イサム・ノグチのライティングが印象的な談話室。宿のショップである「藏拙」の奥に位置し、宿泊客だけに許されたプライベートな空間。

山荘無量塔

大分県由布市湯布院町川上1264-2

tel 0977-84-5000

部屋数:12室

料金:(1泊2食付)1部屋2名利用1名料金/40,000円~58,000円(消費税・サービス料・入湯税が加算される) *年末年始は5,000円アップ

施設:(敷地内)タンズバー、茶寮「柴扉洞」、セレクトショップ、(敷地外)ミュージアム「アルテジオ」、蕎麦「不生庵」、ロールケーキ専門店

アクセス:JR由布院駅よりタクシーで10分

sansou-murata.com

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