川島豆腐店[大豆の旨みが生きた豆腐]

- Karatsu-city, Saga

「川島豆腐店」の名を一躍有名にした "ざる豆腐"。今やブームを超えて定着しているが、実は、元祖は唐津の地で9代にわたり、豆腐一筋に精進する「川島豆腐店」。そんな名店の豆腐づくりを一から見せてもらえることになり、トモさんも大張り切りだ。
朝の早い職業は数あれど、豆腐屋はその筆頭。3時起きだというから頭が下がる。私達も眠い目をこすりながら6時にロビーに集合。清々しい空気の中を商店街まで歩いた。
「おはようございま~す」。まずは豆腐のできるまでを、順を追って川島さんに説明してもらおう。

豆腐ができるまで

1.大豆の洗浄、浸水

大豆は洗ったのち、ひと晩水につける。

一晩大豆を水に浸けたところ。
浸水具合が、豆腐の出来不出来を左右するので、大切なポイント。

2.「ご」を作る

水と一緒につぶして、「ご」の状態にする。「ご」を煮釜に移し、煮る。

 

3.豆乳とおからに分離

100℃近くなったら、豆乳とおからに分離する。

上:ごを煮たあとに、豆乳とおからに分離させる。
  蛇口からは搾りたての豆乳が。
下:搾りたての豆乳。こうして「ご」は豆乳とおからに分離される。
上左:本にがりを加えて豆乳が固まった状態。これをひしゃくですくう。
上右:木綿を敷いた木枠に、ひしゃくですくった豆腐を詰めていく。
下左:木枠ごと水にさらして固め、木枠をひっくり返して水に浮かべて切る。
下中:一つの枠を30等分して1丁の豆腐に。
下右:できたての豆腐をパックに詰める。

4.にがりを入れて固める

〈木綿豆腐の場合〉

適度な温度に管理した豆乳に本にがりを加える。
すると、15分ほどで固まり始める。
固まってきたら、崩しながら木綿を敷いた木枠の中に入れ、水の中に沈めて冷やし固める。固まったところで、枠ごとひっくり返し、
枠をはずし、水に浮かせたまま包丁で切り、パックに詰める。

左:タンクに入れた豆乳に粉にがりを加え、攪拌機で撹拌する。
右:手動の攪拌機で、むらなくかき混ぜる。水面が勢いよく波立つのがわかる。

〈絹ごし豆腐の場合〉

豆乳が入ったタンクに粉にがりを水で溶いて加え、勢いよく対流させるようにかき混ぜる。そのままパックに充填して固める。

おいしい豆腐とは?

上:川島豆腐の豆腐の原料となる、阿蘇産のフクユタカ。減農薬で健康に育てられた大粒の上級品。
下:水をぐんぐん吸い込んでいる大豆。浸水時にどれくらい水を吸えるかが、おいしい豆腐づくりの重要なポイント。

製造途中の温かい豆乳を飲ませてもらうと、驚くほど豆の旨みに満ちていて、甘く、香り高い。「これ飲んだら、豆乳嫌いがいなくなりますね」とトモさん。
豆腐は、大豆と水とにがりだけでできるシンプルな食品だから、大豆の質が豆腐の味を左右することは明らか。9代目の川島義政さんも、「豆腐は7割方が大豆で、残りの3割が腕で決まる」と、材料の大切さを説く。川島豆腐店では伝統的に、害虫が少なく、無農薬に近い減農薬で育てることができる熊本の阿蘇産のフクユタカを中心に使ってきた。けれど、決して現状に満足せずに、さらに上を目指すのが9代目だ。大豆のことをもっと知りたいと、自ら畑を耕して土を作り、無農薬有機栽培の米や野菜作りに取り組んでいる。また、大豆の持ち味を最大限に生かすために、水は水道水を電磁波処理した、分子が細かいものを使用している。純粋な水は、浸透力や溶解力が高いので、ストレートに豆の甘みが引き出され、豆腐がまろやかな味になる。

上:本にがりを打って固まった豆乳を、ざるにすくい入れる。
中:アルミのひしゃくでこんもりと盛りつける。
下:できたてのざる豆腐。ほんのり湯気が立っている。このあとまわりを氷で囲って急速冷凍。

ざる豆腐ができるまで

川島豆腐店の代名詞でもあるざる豆腐は、「水にさらさない豆腐を作りたい」という9代目の真摯な思いがきっかけで、実現した豆腐だ。従来の木綿豆腐では、口当たりはなめらかだが、水の中に旨みが流れてしまうのが難点。そこでいろいろな方法を試みたところ、本にがりを打って固まってきた豆腐を、抗菌効果のある竹ざるに汲み上げるという昔ながらの製法にたどり着いた。ざるの目から豆腐に含まれる水分が自然に抜け、大豆の素材感が引き出され、豊かな風味がそのまま残る。豆乳の温度にもこだわった。一般に豆乳の温度が高いほうがにがりを打ったときに凝固しやすいが、それだと固くなりやすい。そこで、豆乳が固まるぎりぎりの62℃~65℃まで下げることで、よりなめらかでコクのあるチーズのような食感を可能にした。これは、ワイン好きの9代目ならではの発想かもしれない。
さて、実際にざる豆腐を作るところを見せてもらった。にがりを打って、固まった豆腐をアルミの手つきのボウルですくってざるに入れ、こんもりと半球状に盛り上げれば、ふるふると揺れながら、ほんわりと湯気の上がるざる豆腐のでき上がり。
「隣の店で、朝ごはんに食べられますからね」との川島さんの言葉に、生唾ごっくん。
いくら取り寄せ可能といっても、できたてのおいしさだけは、旅のご褒美だから。また、「宅急便で取り寄せた場合は、そのまま蒸して、塩、ねぎ、しょうがなどの薬味やうになどの珍味を取り揃えれば、これ1品でおもてなし料理になりますよ」と、奥の手も伝授してくれた。

渾身のレシピに乞ご期待!

ざる豆腐

 

おから

 

豆乳

   
↓   ↓   ↓    
       

ざる豆腐の茶碗蒸し

 

しっとり卯の花 あさり入り

 

豆乳杏仁

   
川島豆腐店

佐賀県唐津市京町1775
tel 0955-72-2423
www.zarudoufu.co.jp


上左:唐津の町の市場の中の大山鮮魚店。唐津の漁港に揚がった鮮度抜群の魚が並ぶ。上右:日本料理「かわ島」店主、川島広史さんと。地元の魚を丁寧にトモさんに説明。
1段目:できたてのざる豆腐を中里隆氏作の高台にのせて。手前にはつるりとすくったざる豆腐、おから、ごま豆腐、さっとゆでた米いか。2段目:存分に脂ののった近海もののあじのお造り。3段目左:木綿豆腐に粉をはたいてさっくり揚げた、揚げ豆腐。塩でいただく。3段目右:香り高いふきのとうの味噌汁。右はごく細かい賽の目に切った豆腐をおかゆのように炊いたうずみ豆腐。4段目左:デザートの、豆乳のパンナコッタも美味しい!4段目右:黒田征太郎さんの描いた鳥の図。

「日本料理かわ島」で
夢の朝ごはん

豆腐作りのいろはを学んだあとは、待ちに待った朝ごはんだ。なにしろ朝が早い。8時にして、皆ペコペコ。川島豆腐店に隣接する「日本料理かわ島」は、義政さんの次男・広史さんが、東京・原宿の名店「重よし」で10年修業し、地元へ戻り、長男とともに豆腐店を継ぎながら営んでいる割烹だ。豆腐類に地元の海の幸を加えて、シンプルながら、実に洗練された料理を供する。でも、なんといっても魅力は、できたての豆腐が主役の朝ごはんが食べられること。
「朝ごはんに、鯵も食べる?」と広史さんに聞かれ、「はい!」と即答。町中の市場まで、買い出しにおともした。
「あ、これは、地元で揚がる "米いか"、ね」。トモさんの質問に答え、鮮度抜群の鯵のほかに、米いかも購入。徒歩5分でこんなに美味しいものが揃うのだから、つくづく唐津は幸せな町だ。
席につくと趣味のいい器でまず、おからが出された。「わあ、しっとり! 今までに食べたおからの中で一番おいしい」と、一皿めからトモさんのテンションが上がる、上がる。作り方を聞くと、「おからをだしと塩でさっと炊くだけ」と、いたってシンプル。腕はもちろん、素材のよいことの何よりの証だ。
続いて、市場で仕入れた米いか。紋甲いかの子供のことで、さっとゆでて生姜醤油でいただくと、これが甘くて最高。続いて供されたあじの刺身もほどよく脂がのっている。熱々の揚げ豆腐のあとは、合鹿椀で豆腐とふきのとうの味噌汁が供される。
「驚くほど、ふきのとうが良い香りですね」。どっしりとした合鹿椀まで、いちいち素敵で、ため息。最後のうずみ豆腐(さいの目に切った豆腐をおかゆのようにさっと炊いた料理)の優しい味わいに癒される。
壁に目をやれば、端から端まで勢いよく筆を走らせたとまり木に、愛嬌のある鳥がとまっているのに気づく。聞けば、義政さんが、盟友・黒田征太郎さんと朝まで飲んでいた折、「おい、筆をもってこい」と、黒田さんが一言。部屋中を飛ぶように歩きながら、あっとい言う間に鳥を描き、詩を詠んだのだとか。「なにもかもが、ほんとうに素敵」なのである。

日本料理かわ島

佐賀県唐津市京町1775
tel 0955-72-2423


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    ●玉ねぎの丸ごとロースト 白い玉ねぎソース
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