まだまだある唐津の街の楽しみ

- Karatsu-city, Saga

一番館で古唐津を見る

上:中里重利の三玄窯の唐津焼そばちょこ。左右は絵粉引、真ん中は粉引。
下:ショーケースの中の下段の右が古唐津皿、真ん中が古唐津茶碗、左が十二代太郎右衛門(無庵)作の茶碗。

窯元めぐりのあとは、唐津の商店街にある、美術陶磁の店「一番館」を訪ねた。こちらは、30年前の創業当初から、肥前の三右衛門と並び称される中里太郎右衛門、有田の酒井田柿右衛門、今泉今右衛門の窯主の作品と、有田を代表する名窯の作品を扱ってきた。そして、当然ながら唐津焼に最も力を入れ、太郎右衛門、中里重利、中里隆のいわゆる中里三家をメインに紹介している。
「本物はやっぱり落ち着きますね。器の持っているパワーが違う、訴えかける力が強いですね」と長尾さん。
「中里家でも三家それぞれに作風が違うのが面白いですね」とも。
太郎右衛門窯は最も伝統的。重利の三玄窯はやや線が細く、繊細な印象。隆氏はとらわれない自由な作風が魅力だ。
買うならどれを? の質問に、「うーん悩ましいですね」と、三家の器をかわるがわる手にとりながら、なかなか結論が出ない。それほどに、三者三様の魅力に富んでいるのだ。
中央の売り場から奥に入ったスペースには、ひっそりと、桃山時代の古唐津のコレクションが鎮座している。古唐津は優品が東京や京阪の美術館や骨董商に収蔵されているため、地元ではなかなかお目にかかれないが、こちらで出会えることを覚えておくといい。ご主人か奥様にお願いすれば、丁寧に解説してくれるのも嬉しい。長尾さんも、ご主人の話に熱心に耳を傾けている。「一番館」をあとにしたときには、とっぷり日が暮れていた。

一番館

佐賀県唐津市呉服町
tel 0955-73-0007


4代目竹屋でうなぎを食する

上:うなぎ定食4切れ2550円。直焼きならではの香ばしさが魅力。 下左:大正12年に建築された、格調高い店舗。 下右:話が弾む、4代目の大木基予子さんと長尾さん。

何度唐津を訪れても必ず寄りたい店と、長尾さんが太鼓判を押すのが、老舗うなぎ店の「竹屋」だ。創業130年、現在は4代目が切り盛りする。近郊の松浦川でふんだんにうなぎがとれたことに始まる老舗だ。昭和40年代までは、松浦川の天然うなぎだけを供していたが、それ以降は質が安定しなくなり、現在は養殖のうなぎを使用している。
町なかでもひときわ目を引く立派な構えは、大正12年に建築された登録文化財。「うなぎ屋は昔は格の高い商売で、初代が頑張って建てたものだと聞いています」と4代目の大木基予子さん。銘木をふんだんに使っていることが、文化財に指定された理由だという。
小ぶりで身の締まったうなぎを、蒸さずに炭で直焼きするのが、竹屋流。長年使い継がれた、さっぱりと品のいいたれで焼き上げたうなぎを、歴史を感じる店内でいただくのは格別だ。

竹屋

佐賀県唐津市中町1884-2
tel 0995-73-3244


上左:できたてのざる豆腐を盛りつける9代目。
上右:中里隆作角小鉢に、ざる豆腐を盛って。奥のおからを盛った焼き締めの小鉢は中里太亀作。豆乳が入ったそばちょこは、二村藤枝作の瀬戸焼。手前のごま豆腐は有田焼の小鉢に。 下左:熱々の厚揚げは、絵唐津の皿に。
下右:真ん中の赤い馬の置物は、長尾さんも持っている、北欧の民芸品。花器は中里隆作。

「日本料理かわ島」で朝ごはん

唐津の町の楽しみは焼物だけではない。「川島豆腐店」もその一つ。その名を全国に知らしめたのは、9代目義政さんの、美味しい豆腐へのあくなき探究心と、卓越した審美眼だ。中里隆さんとは古くからの盟友。また、同じく唐津の魅力を牽引する旅館「洋々閣」へざる豆腐をおさめ、洋々閣では、隆太窯の器を使用するなど、町ぐるみのいい関係が続いている。10年ほど前から、豆腐店の隣では、東京の名店「重よし」で修業を積んだ息子さんを料理長とする割烹が営まれている。そこでは、中里隆氏の花器や酒器から、太亀さんの器、そして新しいところでは、熊本象さんの器までを使いこなしている。
川島さんの審美眼で選ばれた器で、できたての豆腐や気の利いた小鉢をいただく朝の時間は、唐津ならではの贅沢。「まだほんのりと湯気の上がるできたてのざる豆腐は、旅のご褒美ですね」と、長尾さん。
唐津という町の魅力は、まだまだこんなものではないけれど、今回は時間切れだ。また、訪れる日を楽しみに。

日本料理 かわ島

佐賀県唐津市京町1775
tel 0955-72-2423


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